新型コロナウイルス感染症がもたらしたビジネスにおける不安は、ITプロフェッショナルにも共通しています。かつてない規模でリモートワークが行われる中、ITプロフェッショナルは、リモートワークを可能にする全てのデジタル要素を、運用可能な状態で維持するという不可避のタスクに向き合っています。大多数のITプロフェッショナルは、企業のネットワークやデバイスへの直接的なアクセスや可視性が制限される中で、これらのタスクを管理することが求められています。
日本政府は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための対策として、4月7日に「緊急事態」宣言を発令しました。「人と人との接触を最低7割、極力8割削減させる」という目標を掲げる中、リモートワークに関する実態調査によると、企業の正社員のリモートワーク実施率の全国平均は、緊急事態宣言前の3月(13.2%)と比較して2倍以上(27.9%)となっています。また、今回初めてテレワークを行った人の割合は68.7%と高い水準であることが分かります。
このようなリモートワークの導入・実施に伴い、働く環境の整備と管理におけるITプロフェッショナルの役割は大幅に拡大しています。今後も同じような事態が起こることを想定して、どの企業も、リモートワークに対応できるように準備をする必要があります。以下に、ITプロフェッショナルが、企業にとっての健全さを保ちながら生産性の高いリモートワーク環境を構築する方法をご紹介します。
常に一歩先を見据える
ITプロフェッショナルが第一に行うべきは、リモートワークを行う従業員からの需要が高いサービスに関するリスト作成です。例えば、VPNの利用が急増して、すぐにネットワークに負荷がかかることが想定できるでしょう。さらに、全員がリモートで作業するため、従業員のミーティングや業務の確認がオンラインで行われ、会議用アプリケーションの使用に関するパフォーマンス上の懸念が生じます。
急速に変化する状況に対応するために、ITプロフェッショナルは次のことに取り組む必要があります。
1.容量とパフォーマンス:Cisco Webex、Microsoft Teams、Zoomなどのコラボレーションシステムの必要性と依存性が強調され、潜在的なシステムの容量とパフォーマンスの過負荷が増加し、パフォーマンスと可用性を監視する必要性が高まります。
2.セキュリティ:新たにリモートワークを行う従業員は、適切なセキュリティ対策により保護を受けられない可能性があり、VPN関連ソフトウェアのインストール、パッチの更新、アクセス権の取得など、ITプロフェッショナルのサポートが必要になります。リモートワークを行う多くの従業員が、一斉にファイアウォールをテストしてVPNを飽和させることで、パフォーマンスおよび可用性についての問題や、オープンな脅威ベクトルを引き起こす可能性があります。また、VPNがバイパスされてしまうと、悪意のある人物がそれを利用し、組織に対してノイズから信号をフィルタリングする可能性もあります。
3.アプリケーションへのアクセス:重要なアプリケーションへのアクセスは、オンプレミスやクラウドに限らず、リモートワークを行う従業員の人数が増えることで、本質的に変化します。アプリケーション、インフラストラクチャーおよびネットワークのパフォーマンスを監視し、問題を迅速にトラブルシューティングするには、履歴のベースラインに頼ることはできません。時間の重要性が高い状況にあるほど、サービスを稼働させておくことの複雑さが増大します。
4.ITサポート:通常の勤務時と比較して、従業員がリモートワークを行う場合、より多くのサポートが必要になるため、サポートデスクや技術者の時間を消費させてしまいます。また、リモートアクセスソリューションを有していない組織では、待ち時間や解決時間を増加させてしまう可能性があります。
5.ビジネスの継続性:さまざまな計画がグローバルに検証されるため、技術者は欠陥への迅速な対応が求められます。