緊急事態宣言が解除され、日常が戻ってきたことを日々感じています。オフィスを再開した企業も多い中、大手企業を中心に在宅勤務の働き方を中心に据え、米国流の職務内容を規定する「ジョブ型」の人事制度を導入する動きも活発になってきました。新型コロナウイルスの感染防止のため、多くの企業がこれまで経験がなかった全社テレワークに踏み切りましたが、その効果や課題が多くの調査を通じて浮かび上がってきています。
長期化が予測される“withコロナ”時代に向けて、総動員で進めたテレワークの可能性を振り返り、オフィスの在り方や今後のテレワークの方向性を考えてみたいと思います。
コロナ禍のテレワークでデジタル化が加速
新型コロナウイルス感染拡大前にテレワーク制度を導入している企業は、総務省の「平成30年通信利用動向調査」(PDF)によれば、19.1%でした。シトリックスでも総務省などがリードする「テレワーク・デイズ」に賛同し、いつでも、どこにいても、個人のパフォーマンスを最大化するためのツールとしてテレワークを提供しており、緊急事態を見据えてテレワークの全社的な予行練習などの取り組みも進めてきました。
しかし、今回のコロナ禍において、これだけ大規模で急激な変化は、誰もが初めて直面する事態であり、これまで当たり前だと思われてきた出勤や対面ミーティング、出張が制限される中、コミュニケーションの取り方、リーダーシップスタイル、意思決定プロセスなど、あらゆるビジネスのやり方が大きく変化しました。
コロナ禍で多くの企業が在宅勤務に移行し、大企業や都市部では、5割以上がテレワークの経験をしたという調査結果もあります。日本生産性本部が5月末に発表した意識調査によると、「今後も在宅勤務を継続したい」という声は多く、回答者の6割が感染症が収束後も在宅勤務を希望しています。
テレワークのメリットは明らかであり、テレワークが主流になることでいつでも、どこからでも、さまざまなデバイスを利用して最大限のパフォーマンスが発揮できるインフラとなるでしょう。社会が求めれば、テクノロジーの活用は一気に進化し、テレワークの可能性を感じたのも、コロナ禍であったのではないでしょうか。
また、Citrixがグローバルで実施したIT部門のリーダーを対象にした調査では、回答者の72%がテレワークへの移行によりデジタル化が進むと答えています。また、75%は従業員がオフィスに戻ることを望んでおらず、62%はクラウドへの移行を前倒しで進めているという結果を公表しました。
日本ではハンコ文化などが課題として挙がっているように、今回のコロナ禍の在宅勤務を通じて、業務のデジタル化の課題も浮き彫りになり、今後のデジタル化が加速することが予測できます。