川崎重工業は、統合基幹業務システム(ERP)「SAP S/4HANA」への移行に向けたアセスメントを実施した。TISの「SAP S/4HANAアセスメントサービス」を活用し、川崎重工業のグループ会社であるべニックソリューションも共同で取り組んだ。
川崎重工業では、1997年に「SAP R/3」を人事システムとして導入し、その後に会計システムも導入した。「SAP ERP 6.0」への移行を経て、2011年からは固定資産システムにも用途を拡大している。また、海外7拠点で合計12個のインスタンスがグローバルで稼働しており、現行版の保守サポートが終了する対応として、S/4HANAへの移行を計画している。
S/4HANAマイグレーションのアセスメントイメージ(出典:TIS)
TISの「SAP S/4HANAアセスメントサービス」を選定した理由としては、機密情報を社外へ持ち出す必要がない安全性やツールによる自動診断と蓄積された知見による解析の組み合わせで影響調査できることなどが挙げられている。
川崎重工業では防衛省など官公庁との取引も多く、厳格な機密性が求められる情報を扱っている。同サービスでは、グループ内に閉じたネットワーク環境で検証を行うため、調査のために機密情報を社外へ持ち出す必要がない。また、これまで経験してきたコンバージョン案件での知見が反映されているため、一般的なアセスメントツールより広いスコープを自動診断できるという。このため修正対象のアドオンなどの抽出に加え、経験に基づいた修正箇所の特定や修正方法を組み合わせて出力することが可能だ。
アセスメントは2018年10月に完了しており、アドオン改修の対応ボリュームや人的リソースなど必要な工数をまとめたレポートが提出された。それに基づき経営会議でS/4HANAへの移行プランが承認され、2020年4月からS/4HANAへの移行対応が開始されている。またTISでは2019年8月から海外拠点(北米、アジア、ヨーロッパなど)のS/4HANA移行に関するアセスメントも手がけ、一連の対応を2020年1月末までに実施している。