AGCとFRONTEOは7月2日、人工知能(AI)を用いた質問&回答(Q&A)システム「匠KIBIT」を共同で開発したと発表した。コンピューター上にガラス製造の知見を集約し、簡単に引き出せるようにしている。
国内のガラス製造拠点を中心に運用を開始しており、今後は欧州を含む世界のガラス製造拠点での展開を検討している。
匠KIBITの利用画面
匠KIBITを使用時の様子
ガラス製造は、溶解・成形・加工など複数の技術が組み合わされており、操業には独自の高い技術力が必要となる。技術力が他社との差別化につながる一方、各工場が蓄積したノウハウの共有や、熟練技術者から若手技術者への技能伝承が大きな課題となっていた。
匠KIBITの主なプロセスは、聞きたい質問を入力すると、質問の特徴をKIBITが学習し、KIBITによるスコアリングを実施する。そして、類似度の高い質問にひも付いた回答を質問者に提示する仕組みになっている。
匠KIBIT、FRONTEOの自然言語解析AIエンジン「KIBIT」をベースとしており、少量の教師データでも短時間で高精度なテキスト解析が可能という。
匠KIBITの回答までのプロセス
自動で回答できなかった質問は、該当する熟練技術者をKIBITが推定し、その熟練技術者に対して回答依頼を自動的に通知し、回答データを回収することで自律的にデータベースを拡充できるようになっている。同システムは2017年から国内のガラス製造拠点でトライアルを開始。月に300件以上の利用があり、技能の共有と伝承に着実な成果を挙げているという。