2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、総人口に占める65歳以上の人口の割合が現在の26.9%から30%へ上昇する(PDF)と推計され、日本は超高齢化社会を迎えます。「2025年問題」が企業にもたらす影響の1つは、労働力の不足です。
厚生労働省の「2012年度仕事と介護の両立に関する労働者調査」(PDF)によると、介護をする雇用者の年齢階級別構成割合は「40代・50代・60代」が全体の8割以上を占め、総務省統計局が公表している「平成29年就業構造基本調査」では、介護や看護を理由に離職した人が9万9000人という結果となっています。
2019年にCitrixが米国で調査会社OnePollと協力して5000人のナレッジワーカーを対象にした調査で回答者の86%は、キャリアの成功に影響を与える要因として「年齢」を挙げています(55歳以上の調査回答者の実に91%が年齢と回答しています)。
さらに、回答者の69%は「障害や健康上の問題」をキャリアの進歩に影響を与える可能性があると回答しています。また、女性は男性よりも性別をキャリアアップの潜在的な問題として認識しています(64%対46%)。
企業はこの問題にどのように備えれば良いのでしょうか? 答えのヒントは「柔軟な働き方」と「生産性の向上」にあると思います。
柔軟な働き方を採用することは、労働人口を維持していく上では必須であり、働き手に不安や負担がかからず、どこからでも働ける在宅勤務システムの整備は、喫緊の課題と言えます。従業員の選択肢を制限したり、特定のタイプの従業員のみを歓迎したりする文化や労働力を生み出してはいないか? また、年齢やライフイベント、家庭環境などの状況を理由に従業員を除外してないか? 大都市圏か地方都市かにかかわらず、あらゆる候補者に採用の門戸を開いているか?
人事や制度、そして企業文化も問いただすタイミングかもしれません。これらの問いに関して、優秀な人材獲得のための4つのヒントを共有したいと思います。
マネジメントの柔軟なアプローチ
2020年現在の職場には、1946~1952年生まれの“ベビーブーマー”世代、1960年代初〜1970年代生まれの“Generation X(X世代)”、1989~1995年生まれの“ミレニアル”世代(Generation Y=Y世代)、1990年代中頃生まれの“Generation Z(Z世代)”の5つが同居しています。
このように幅広い世代が一緒に働くことのビジネス上の意味は大きく、より幅広い視点を会社に持ち込むことができ、コラボレーションの幅も広がります。
しかし、企業側は異なる世代の異なるニーズを踏まえたマネジメントが必要となります。
多世代の労働力を受け入れることは、職場文化に影響を与えます。経営者は、組織の状況を考慮し、時間をかけてどのようなアプローチが適切であり、ビジネス上の意味があるかどうかを確認する必要があります。リーダーは、自社のコアビジネスの価値観と、そのために推進している文化や目的を再評価する必要があります。
最後に、ビジネスリーダー自身が多様な人材を惹きつけ、維持し、雇用するため、どのような柔軟性が必要なのか、すべての労働者の中で組織の継続的な生産性と成功を達成するためにどのように役立つかを自問自答しなければなりません。