採用プロセスにおける包括性
今こそ、これまで以上に採用方針を再考し、無意識のバイアスを認識する必要があります。採用の際には、企業が応募者に求める条件を考えることが重要です。
あらゆる年齢層を受け入れ、あらゆる身体能力、世代、社会経済的背景、場所、性別のアイデンティティを持つ人々を歓迎しているでしょうか? 履歴書はどのようにフィルタリングされているのか、年齢やその他の制限のある基準を理由に最初のハードルで有力な候補者が除外されていないのか、候補者リストは、その役割に応用可能な潜在的能力を網羅しているか?
多くの場合、候補者リストには限られた才能しか反映されておらず、採用プロセスを変える必要があります。
地理的に分散したチーム
人材は常に都市部にいるとは限りません。労働力の不足が課題になる時、企業は優秀な人材が自分のところに来ることを期待するのではなく、優秀な人材がいる場所に手を差し伸べることが不可欠です。先ほどの調査では、回答者の54%が現在住んでいる場所がキャリアに影響を与える可能性があると感じていると回答しています。
仕事は都市部だけではなく、個人が好きな場所に住み、健康上の理由や障害の理由などで住まなければならない場所で働くことができる、柔軟性のある職場を作ることは、企業の人材探しの幅を大幅に広げるのに役立つかもしれません。また、柔軟な働き方を採用することで、より公平な競争の場が生まれ、人材の可能性を広げることができます。
業務の効率化を通した生産性の向上
CitrixとQuartzが協力した調査では、利便性の高いテクノロジーを仕事で利用できると回答したグループのうち、90%が自身の生産性が高いと回答しています。業務が最適に効率化された環境で、従業員一人ひとりの生産性を向上することも労働力の強化につながるでしょう。
Jive Communicationsがミレニアル世代2000人を対象にしたアンケートによると、70%の回答者が、動作が遅く性能の悪いツールを使わされる会社であれば、退職すると回答しています。コロナ禍の緊急事態宣言で急遽広がったテレワークを機に、より労働力のモビリティ化は高まり、リモートワークはますます浸透しています。最良の働く環境と技術を提供しなければ、最良の人材の獲得も引き止めも困難になるかもしません。
そして各従業員が意欲をもって挑戦的に課題に取り組むためには、従業員エンゲージメントは企業にとってますます重要になってきます。そのためには、共感される企業文化と、その浸透が必要です。
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2025年問題は間もなく、そして確実にやってきます。より多くの組織が、従業員が不安や不満を抱えることなく、どこでも仕事ができる環境を提供し、柔軟な働き方実現のための環境を整え、新しい働き方への取り組みの経験を重ね、それを共有することで2025年問題のような難問も解決できると信じています。
- 尾羽沢功(おばざわ・いさお)
- シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長
- 1982年に高見澤電機製作所(現・富士通コンポーネント)に営業職として入社、富士通による買収後は富士通コンポーネントのドイツ支社長として赴任。日本ルーセントテクノロジー(現・ノキアソリューションズ&ネットワーク)と日本アバイアで取締役 営業本部長職、2005年からSAS Institute Japanで執行役員営業統括本部長、2013年からインフォアジャパン代表取締役社長を歴任。
- 2019年4月からシトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長に就任、日本市場での営業やマーケティング、新規事業開発などを統括している