日本ビジネスシステムズ(JBS)は7月16日、「テレワークの課題はシステムの定着化~Microsoft Teamsアクティブユーザー90%なのに定着していない理由~」と題したメディア向けセミナーを開催した。JBS コンサルティング本部 デジタルイノベーション推進室 Adoption & Change Managementグループ 森居真理子氏は企業にテレワークを定着させるための秘訣を明かした。
日本マイクロソフト Microsoft 365 ビジネス本部 影山三朗氏氏が「Microsoft史上、最速で成長中」と説明する「Microsoft Teams」だが、現在は、日経225に連ねる企業の80%以上が導入。コロナ禍において1日当たりのアクティブユーザー(DAU)数は全世界で7500万人となっている(4月末時点)。
新しくて古いテレワーク
テレワークを推進する日本テレワーク協会は、日本サテライトオフィス協会として1991年に設立している。政府は2007年に「テレワーク人口倍増アクションプラン」を実施したが、新型インフルエンザの流行で2009年は微増にとどまり、2011年の東日本大震災を経て、増加傾向に入った。
そして新型コロナウイルスの世界的大流行と日本政府の緊急事態宣言を受けて、テレワークという働き方は定着したように見えたものの、JBSの森居氏は「テレワークの定着はシステムの定着と同義」と指摘。同社は緊急事態宣言以降、のべ1600人にTeamsの講演を行い、累計30社以上、約13万ユーザーへの定着支援につなげてきたという。
2018年1月22日、働き方改革関連法案の可決成立を機にJBSへの問い合わせも増え、一見するとテレワーク環境は整いつつあるように見えたが、「実際は進んでおらず、コロナ禍で一気に(テレワークへ)シフトしたのが現状」(森居氏)
JBS開催のオンラインセミナー参加企業の約600社に「新型コロナウイルスの世界的大流行でTeamsは定着したか」とアンケートを実施したところ、「DAUは飛躍的に伸び、プライベートチャットや(音声会議とウェブ会議をあわせた)Teams会議の利用は増えたが、Teamsの価値を最大限利用できていない、もしくは働き方や業務遂行が変化していないといった声が多い」(森居氏)
たとえば、利用状況を見ても、上長や隣席の同僚に対するプライベートチャットやTeams会議で開催する週次や月次の報告会議へ参加するなど。同社はTeamsの活用と定着化を実現するために必要な4つの要因を強調した。
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一般的に新しい情報システムを社内展開する際は利用者数の増加を解決策と定め、社内トレーニングなどを実施することが多い。だが、JBSの森居氏は「『Teamsを使って何を解決したいのか』という目的が明確になっていない。その状態では施策を検討できず、定着化につながらない」のは当然である。