情報処理推進機構(IPA)は、「中小規模製造業の製造分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)のための事例調査報告書」を公開した。2020年1~3月上旬に実施した特徴的なDX推進を行っている国内の中小規模製造業14社への事例ヒアリング調査を基にしている。

事例ヒアリング調査の対象企業
報告書では、文献調査の結果からDX推進上の課題を4つに分類し、それらに対する対応例を14社へのヒアリング調査結果を踏まえて紹介している。
4つの課題とは「マインドセット・企業文化の変革に関する課題」「『データ活用』を推進する上での課題」「企業間連携を推進する上での課題」「製品・サービス変革を推進する上での課題」を指す。
例えば「マインドセット・企業文化の変革」では、まずバーコードを記載した個人カードを作成し、工場で働く人の出退勤をバーコードリーダーで記録するようにしたことで、身近なデジタル化の効果を日々感じられるようになり、デジタルに対する否定的意識の排除に成功した事例を引用している。
さらに先進的な4事例を「個別事例」として、変革に取り組んだ動機、取り組みの成果、成功要因などを詳しく紹介し、まとめとして、5月にIPAが公開した「DX推進指標 自己診断結果分析レポート」と今回の調査結果の共通点と相違点も解説している。
IPAは今後、この調査から得られた示唆や課題を踏まえ、「中小規模製造業の製造分野におけるDX推進ガイド(仮称)」を本年中に公開する予定だ。