ここにデータ分析基盤であるTeradata Vantageを組み合わせる利点として日本テラデータの富髙氏は、「好みの言語で分析し、分析ツールやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールが活用できる。試乗データを突合することでR&D(研究開発)担当者の業務も大きく変化する」と説明。たとえば走行データに地図や天候といった外部データを掛け合わせることでデータの価値を高めることが可能だという。

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日本テラデータ ビジネスコンサルティング事業部 マネージャー ビジネスコンサルタント 矢野寛祥氏
また、エンジン電子制御ユニット(Engine Control Unit:ECU)やトランスミッションのパラメーターを調整する際は、車両試験ベンチ(屋内で性能試験などを行う装置)のテスト走行から得る変速比や加速度といったデータをシミュレーション結果と突合して分析する。
「実際の現場ではUSBメモリーなどを使っているため、(協業から生まれるソリューションにより)即座に分析結果を解析スタッフに渡せる」(日本テラデータ ビジネスコンサルティング事業部 マネージャー ビジネスコンサルタント 矢野寛祥氏)ようになる。この事例は商談が進んでおり、「海外での試験走行は昨今の事情で難しく、実施する際も予算の関係から1回で終わらせたい」(矢野氏)といった事情もあるそうだ。

アプトポッド 代表取締役社長 坂元淳一氏
別の事例では国土交通省が2018年に告知した「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」の一部改正の存在が大きい。内容をかいつまむと、日本でも2022年からディーゼル乗用車への公道路上排ガス試験(RDE)規制導入を予定している。ディーゼル乗用車に車載式排出ガス測定システム(PEMS)を搭載し、路上を走行しながら排出ガスを測定するため、走行データや地図情報、標高差など多くのデータが欠かせない。
今回の協業から走行データに多様なデータを掛け合わせることが可能になるため、日本テラデータは「工数は(現在の)半分以下になる」(矢野氏)という。
アプトポッド 代表取締役社長 坂元淳一氏も「(本ソリューションを)一部の顧客に案内し、複数のメーカーから積極的な商談をいただいている。まずは国内自動車メーカーを支援し、北米市場や欧州市場へも展開したい」と述べた。