日産自動車(日産)は、オンプレミスの高性能コンピューティング(High Performance Computing : HPC)ワークロードを「Oracle Cloud Infrastructure」に移行した。パフォーマンスとレイテンシーの影響を受けやすいエンジニアリングシミュレーションのワークロードをOracle Cloud Infrastructureに移行することで、新車の設計やテストのスピード向上を図る。
日産では、自動車の空力や構造破損における設計やテストに、ソフトウェアを用いた計算数値流体力学と構造シミュレーション技術を用いており、今回の移行でエンジニアが複雑なシミュレーションを実行するために必要な計算能力を常に利用できる環境を構築したという。
移行したのは、流体力学、構造力学シミュレーション、3D可視化環境で、これらをベアメタルHPCインフラストラクチャーで稼動できるようになる。Oracle Cloud Infrastructureでは、ローカルのコンピューターのメモリーから、異なるリモートのコンピューターのメモリーへデータの転送を行うプロトコル「RDMAネットワーク」を備えている。これにより、2マイクロ秒未満のレイテンシー、100Gbpsの帯域幅が提供され、パフォーマンスの向上やコストの低減を実現し、クラウドでのエンジニアリング・シミュレーション・ワークロードの容易な稼働が見込まれる。
また日産は、初めてOracle Cloud InfrastructureでNVIDIAのTesla GPU(Graphics Processing Unit)テクノロジーを活用した自動車メーカーの1社で、構造シミュレーションやリモート可視化に活用している。オラクルのベアメタルNVIDIA Tesla GPUアクセラレーションハードウェアを使用することで、大量のデータ転送のコストとオーバーヘッドを削減しながら、シミュレーションジョブで生成された全てのデータをクラウド内の3D OpenGL方式で簡単に表示できるようにしている。さらに数万のコアとGPUベースのハイエンド可視化サーバーを柔軟に起動でき、エンジニアのニーズに基づいてコンピューティングやリモート3D可視化を動的に変更することができるようになった。