電通国際情報サービス(ISID)は、日産自動車(日産)のクラウドHPC/CAE環境を大規模解析プラットフォーム「ScaleX」で構築した。HPCとは、大規模で高性能なコンピューターシステムを用いて、単位時間当たりの計算量が非常に多い計算処理を行うこと。CAEとは、製品開発の初期段階からコンピューターを用いた仮想試作・仮想試験を十分に行い、できるだけ少ない試作回数で高品質な製品を開発する設計技術。
同システムは、衝突解析や流体解析などの大量のマシンリソースを要するコンピューターシミュレーションをクラウド上のHPC環境において実行する際に利用する。これにより、検証ケースが多岐にわたる複雑な解析や、大量のデータ解析時間の大幅な短縮が可能になるという。現在は日産の自社環境と組み合わせて利用しているが、今後はクラウドの全面活用に向けて段階的に移行することを計画している。
ScaleXは、ピーク時には数万コアを同時に処理することができるプラットフォーム。同基盤により、CAE分野を中心とする300種以上のアプリケーションをマルチクラウド環境で利用できるという。
日産では製品の多様化・短納期化や、製品構造の複雑化に伴う解析ニーズの増大に応えるため、以前から本格的なクラウドHPC/CAEの活用を検討していた。だが自社環境との連携や段階的移行の実現には、大規模なシステム開発が不可欠であることが課題となっていた。同社は、ISIDが数多くの製造業のクラウドCAE環境構築を支援してきた実績を評価し、システム構築のパートナーとして選定したという。