調査

ポストデジタル時代を生きる5つの技術トレンド--テクノロジー思考を持つCEOがカギ

藤本和彦 (編集部)

2020-08-21 07:00

 アクセンチュアは8月、世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Accenture Technology Vision 2020」に関するオンライン説明会を開催した。20回目となる今回は「ポスト・デジタル時代を生きる - 企業が『テック・クラッシュ』を乗り切るには」がテーマ。生活者にとってテクノロジーは完全に日常の一部して浸透しているとし、新型コロナウイルス感染症によってさらに加速しているという。アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェア エンジニアリングサービスグループ日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏が調査結果の詳細を明らかにした。

Accenture Technology Vision 2020を説明するアクセンチュアの山根圭輔氏
Accenture Technology Vision 2020を説明するアクセンチュアの山根圭輔氏

 同社はTechnology Vision 2020の作成に当たり、日本を含む全世界6000人超の企業や組織の上級役職者とIT担当役員を対象に調査を実施。その結果、83%が「テクノロジーは、“ひと”の体験を形作る上で欠かせないものになった」と回答。また、今回は2000人の消費者にも調査を行い、その70%が「今後3年間でテクノロジーと自分の関係が深まる、もしくは大幅に深まる」と回答したという結果が出ている。

 その上で、企業が「閉じたエコシステム」「アプリケーション中心のデータモデル」「企業中心のデータ所有モデル」といった既存のモデルを踏襲し続けることは顧客に不満を与え、従業員の心を遠ざけるばかりでなく、永続的にイノベーションや成長の可能性を制限してしまうリスクもはらんでいると警告する。

 企業による従来型のスタイルと生活者の先進的なスタイルにギャップ(溝)が生まれることで、企業が消費者の信頼を喪失する可能性もある。アクセンチュアではこれを「テック・クラッシュ」と呼んでいる。この「テック・クラッシュ」を解決するためのテクノロジートレンドとして、Technology Vision 2020では「体験の中の『私』(The I in Experience)」「AIと私(AI and Me)」「スマート・シングスのジレンマ(The Dilemma of Smart Things)」「解き放たれるロボット(Robots in the Wild)」「イノベーションのDNA(Innovation DNA)」の5つを定義した。

 また、あらゆる企業はデジタルを利用する企業ではなく、テクノロジー企業になるべきだといい、これをけん引するにはテクノロジー思考を持つCEO(最高経営責任者)、つまり“テクノロジーCEO”が必要だと提言している。5つのテクノロジートレンドの詳細は次の通り。

体験の中の「私」(The I in Experience)

 山根氏によると、企業は個人の選択肢の幅が広がるように、一人ひとりに合わせた体験を設計することが必要になるという。「生活者はライブ感があり、自分向けと感じる体験に好意的だが、企業から提示されるパーソナライゼーションには懐疑的」(同氏)

 「自分でコントロールできず、蚊帳の外に置かれている」といった感覚を与えてしまう一方通行の体験を、双方向性を持った体験に変えることで、人に積極性をもたらすことが可能になるといい、顧客を能動的参加者へと変える仕組みをサービスに組み込む必要があるとする。

 これを実現するためにはリアルとデジタルの体験の融合が必須であり、適切なパーソナリティーに加え、顧客がより主体的に共感して過ごせる仕掛けやコニュニティーを構築する企業が長期的な指示を享受していくことになるという。

共創を生み出す体験設計の事例 共創を生み出す体験設計の事例
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