海外コメンタリー

コロナ禍で再認識すべき危機管理のポイント--4人のリーダーに学ぶ

Mark Samuels (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-08-24 06:30

 企業のITリーダーは、新型コロナウイルスが自分たちの組織や、従業員や、顧客に与える影響を管理するために、事業継続計画の策定から、柔軟な働き方の実現、ビジネスモデルの変革まで、さまざまな問題に対応する必要があった。

 一部のリーダーにとっては、そのプロセスは困難なものだったようだ。Grant Thorntonが発表したレポート「International Business Report」によれば、3分の1以上(36%)の企業が、危機管理のプロセスを改善する予定だと述べている。

 この厳しい状況に正面から向き合ってきたリーダーたちは、新型コロナウイルスの危機から、効果的な危機管理ポリシーの策定について何を学んできたのだろうか。この記事では、4人のITリーダーから、新型コロナウイルスへの対応などから学んだ教訓について話を聞いた。

1.計画を策定しておくこと、柔軟に実行すること

 Wincantonの最高情報責任者(CIO)Richard Gifford氏は、新型コロナウイルスのビジネスへの影響に対する対応から、危機管理について重要な2つのことを学んだという。1つめは事業継続計画をあらかじめ準備しておくことの重要性であり、2つめは、その計画に対応する際の柔軟性だ。

 「例えば、疫病のパンデミックは必ずリスクのリストに入っていたが、私たちは、そんなことは多分起こらないだろうと思っていた」とGifford氏は言う。「しかし、ビジネスが非常に複雑であることを考えれば、その計画を準備していたのは幸いだった。計画があればこそ、必要に応じてそれを修正できた」

 Gifford氏は、今回の危機への対応で、徹底したチームのコミュニケーションの重要性が高まったと話す。パンデミックの初期には、IT部門のスタッフは常に連絡を取り合っていた。

 「私たちは、自分たちが何をしており、どう対応しているのかを常に見直していた。その過程では、あらゆる場面でテクノロジーが大きな役割を果たしたため、迅速に物事を進めることができた」と同氏は言う。

 Gifford氏は、方向性を素早く変えられる能力は、今後の意思決定プロセスにも影響を与える可能性があると話す。もしCIOが12カ月前に従業員の全面在宅勤務化を提案していたら、経営委員会を説得する必要があっただろうし、その試みは失敗していたかもしれない。しかし2020年の企業は、とにかく在宅勤務を受け入れるしかなかったとGifford氏は言う。

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