ITディレクターとは?
ITディレクターは、組織内の情報技術(IT)を担当するシニアマネージャー職だ。ITディレクターは最高情報責任者(CIO)と呼ばれることもあるが、これらの役職名には複雑な歴史があり、1つの組織に両方の役職が置かれていることも珍しくない。
ITディレクターの仕事
ITディレクターの仕事には、社内のIT運用を効果的かつ円滑に行うことが含まれているが、その職務内容以外の部分は組織によって大きく異なる。一般的には、技術に関する新しい選択肢を模索し、それらの技術を既存のテクノロジースタックに統合し、常にシステムやサービスのメンテナンスを監督し、社内のIT運用に必要なリソースと人材を確保することなどがITディレクターの仕事だ。また、事業部門で利用するテクノロジーに関するポリシーを策定し、ガバナンスの要件を満たせるように手助けする。特にリスクとサイバーセキュリティに関しては、最高情報セキュリティ責任者(CISO)と連携を取って仕事をしている場合も多い。
ITディレクターが持っているスキル
ITディレクターは、非常に優れた技術のバックグラウンドを備えていることが多い。これは、彼らの仕事が基本的な技術インフラから、戦略立案までを含む幅広い領域をカバーしているためだ。多くのITディレクターはIT部門の下層から昇進しており、上級のマネジメント職に就く前は、ソフトウェア開発者やプロジェクトマネージャーからキャリアをスタートしている場合もある。技術的な能力に加えて、予算管理、戦略的思考、ポリシーの設定、ビジネス分析、組織運営、チームにおけるリーダーシップ、ベンダー管理などのビジネスに関する能力やソフトスキルも幅広く必要になる。
この10年でテクノロジーの使われ方が変わったため、ITディレクターの職務内容にも変化が見られる。社内開発が減り、クラウドプロバイダーが提供するサービスへの依存度が上がったため、ITディレクターが自分でシステムに手を加える時間は減り、人と話す時間が増えている。これは、技術的な知識だけではなく、コミュニケーションスキルの重要性が増していることを意味する。
ITディレクターの役割はどう変わってきたか
財務部門の責任者や最高経営責任者(CEO)などの、役職名が「C」から始まる他の経営幹部職と比べると、ITを担当する幹部職の歴史は比較的短い。企業がITの専門家を雇ったのは、もともとメインフレームの管理を任せるためだった。だが、コンピューターが仕事に不可欠のものになってくるに従って、ITディレクターやCIOといった、技術を統括する役員が置かれるようになった。
最初は、この役職の肩書きにはITディレクターという用語が使われることが多かった。しかし、1990年代の後半から今世紀にかけて、企業のIT担当役員のトップに「CIO」の肩書きを使うことが増えた。とはいえ、特に厳密なルールがあるわけではない。現在も最上位の技術担当幹部をITディレクターと呼んでいる組織も多いし、IT責任者(Head of IT)、技術責任者(Head of Technology)、IT担当バイスプレジデント、技術担当バイスプレジデントなどの、ニュアンスが近い肩書きが使われることもある。