Haake氏は、「例えば、グループCIOの下に地域ごとにITディレクターが置かれ、特定の地域や、事業部門や、特定の分野のITに責任を負うというパターンがある。このような場合は、人事システムだけを担当するITディレクターがいるかもしれない」と説明している。
ITディレクターは自分の仕事をどう感じているか
Kieran Delaney氏は、飲食店にドリンクサーバーとその管理サービスを提供している企業Innserveで、2016年4月にIT担当ディレクター(Director of IT)に就任した。同氏のチームは、さまざまな事業部門向けに独自のアプリケーションを開発しており、これにはオフィスべースの通話の記録と計画を行うアプリケーションや、同社の400人以上の現場サービス担当者が使用する、Android用のモバイルアプリなどが含まれる。
Delaney氏は、2003年にInnserveに入社したあと、IT部門の責任者になるまでに、同社でさまざまな役職を経験してきた。最初はメンテナンスコールのスケジュール担当者からスタートし、その後、オペレーションプロジェクトマネージャー、ITシステムアナリストを務めた。Delaney氏は、技術とマネジメントの知識を磨いたあと、IT担当ディレクターとしてシニアマネジメントチームに加わった。
「われわれ幹部レベルのようなは7人おり、それぞれが事業の異なる領域を担当している。ITディレクターになって一番大きかったことがそれだと私は考えている。ほかの部門の幹部の仕事や、自分の部門とほかの部門の関係や、オープンなコミュニケーションについて学んだ」と同氏は言う。
「私が幸運だったのは、幹部レベルに素晴らしいチームがあることで、私はほかの幹部から助けてもらっている。私たちはチームとして一丸となって仕事をしており、私が自分の仕事を行うにあたっては、彼らが大きな助けになっている。私が学んだことの1つは、1人で仕事をすることはできず、サポート体制が非常に重要だということだ」(Delaney氏)
Delaney氏の直属の上司は最高執行責任者(COO)であり、同氏自身は幹部として現場に出ているという。同氏がITディレクターとして担っている役割は、変革を推進することだ。テクノロジーによって従業員の力を引き出し、システムやサービスが企業のほかの部門が達成しようとしていることの妨げにならないようにする。Delaney氏は、ITディレクターは事業部門の責任者と密に連携を取り、ほかの部門の課題を理解する必要があると話す。
「力を合わせれば、よりよい意思決定が可能になり、意思決定を行う際の情報も豊富になる」と同氏は言う。「IT部門の責任者は、連携を取らずに1人で仕事をすることが非常にやりやすいかもしれず、自分が一番よく知っていると思い込んでしまうことも多い。その問題は例えば、わが社で現場担当者が使うアプリを開発するときのような話につながっている。仕事をするのは私ではなく彼らであり、私は、自分ではなく彼らに何が必要なのかを知る必要がある。このことは、私にとって非常に大きな教訓になっている」