Haake氏は、肩書きに対する昨今の社会的な認識によって、CIOの地位にあった人材が、ITディレクターに転職することは難しくなっているとみている。しかし、賢明な企業役員は、ITリーダーシップにとって重要なのは肩書きではなく、変革を推進できるだけの信頼を得られるかだどうかだと理解している。
「私たちのようなヘッドハンターが、人材を説得し、今いる地位から引っ張り出そうとするときには、新しい役職の権限について説明することが難しい場合もある。しかし、権限について説明することができ、事業部門に対して十分な影響力があることを示せれば、前向きに考えてもらえる」とHaake氏は述べている。
ITディレクターの給与水準
Harvey NashとKPMGの調査によれば、ITリーダーの60%近くは、転職先探しのもっとも重要な要素として「給与水準」を挙げている。両社の調査によれば、英国ではIT担当役員(CIO、CTO、ITディレクター)の平均給与は12万ポンド(約1600万円)弱だ。また、下位のITディレクターの年収は、8万5000ポンド(約1200万円)程度であることが多い。
PayScaleのレポートによれば、英国のITディレクターの平均給与は約8万ポンドだったが、Glassdoorの調査では10万4000ポンド弱だった。米国の給与はそれよりも高い。Salary.comのレポートでは中央値が17万6000ドル(約1900万円)ほどであり、Indeedによれば、平均約13万2000ドル(約1400万円)となっている。
ITディレクターの将来はどうなるか
CIOの役割と同じく、ITディレクターの役割も常に変わり続けている。デジタルトランスフォーメーションよりもバックオフィスを担当している一部のITディレクターにとっては、管理職として昇進を続ける余地はあまりないかもしれない。
ITディレクターは、単純にCIOを目指すよりも、自分が持つ技術やビジネスのリーダーシップスキルを、ほかの分野に対する影響力を拡大するために利用すべきだろう。これには例えば、業務執行、製品、施設管理などの分野が考えられる。
「リーダーとして昇進を目指すのであれば、ITディレクターの仕事を踏み台として、事業部門の業務に対する影響力が大きい幹部職を目指すべきだろう」とHaake氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。