前回は、データガバナンスの推進方法について述べた。今回は、デジタルビジネスを成功に導くデータアーキテクチャの考え方を解説する。
複雑化する企業のデータ環境
デジタルテクノロジーの発展により、これまで接続できなかったさまざまなデータを集められるようになり、企業内のデータ生成、収集、蓄積、活用といったニーズが、より一層高まってきている。
外部環境が大きく変化するなか、データプラットフォームなどのデータ環境を構築し、ヒトやモノのデータをつなげることで、新たなビジネスモデルを創出したり、企業活動におけるマーケティングやバリューチェーンの強化を目指したりする取り組みを検討、推進する企業が増えてきている。
しかし、これらの活動と比例して、データは多種多様、複雑化している。その結果、データ環境が以下のような状況になっている企業が多い。
- データがつながらずサイロ化している
- 何年経ってもデータ統合が終わらない
- どのようなデータが管理されているか可視化できておらず、データ活用につながらない
- データレイクやデータウェアハウス(DWH)といったデータ基盤が乱立し、データ資産を管理できていない
- データの来歴が把握できず、データの関連性と信頼性が確保できない
- データ品質が担保できていない
- 求められたタイミングでデータ提供できていない
今回は、この多種多様、複雑化するデータをどのようなかたちで収集、蓄積し、活用につなげるべきか、デジタルビジネスを進めていくなかで求められる次世代のデータアーキテクチャを考えていく。
デジタルビジネスを成功に導くデータアーキテクチャを考える
米国の調査会社であるGartnerが提言する「Building a Digital Business Technology Platform」では、デジタルビジネスモデルを実現するためには、「情報システム・プラットフォーム」「IoT・プラットフォーム」「カスタマーエクスペリエンス・プラットフォーム」「エコシステム・プラットフォーム」「データ・アナリティクス・プラットフォーム」の5つの要素が必要であると述べている。
また、日本でも、政策として「Society 5.0」が提唱されている。デジタルによりヒトとモノがつながる世界の実現を目指し、データをつなげるためのプラットフォーム構築の推進を述べている。
このように、デジタルビジネスを成功に導くためにデータプラットフォームを構築することは、一つのセオリーとなっている。そのため、多くのメーカーやベンダーが、データプラットフォームに関するソリューションやサービス、リファレンスアーキテクチャを提供している。参考までに図1は、筆者が所属するクニエが提供しているリファレンスモデルの一部である。

※クリックすると拡大画像が見られます