トップインタビュー

顧客体験に不可欠な「信頼」を醸成したい--エントラスト社長のケルソー氏

國谷武史 (編集部)

2020-10-22 06:00

 カード発行ソリューションを展開する日本データカードと、PKI(公開鍵基盤)などのソフトウェアを手掛けるエントラストジャパンが、統一ブランド「Entrust」に刷新した。両社の代表取締役社長を務めるSuzanne Kelsall氏に、その狙いなどを尋ねた。

日本データカードおよびエントラストジャパン 代表取締役社長のSuzanne Kelsall氏(写真提供:エントラストジャパン)
日本データカードおよびエントラストジャパン 代表取締役社長のSuzanne Kelsall氏(写真提供:エントラストジャパン)

 日本データカードは、40年近くにわたってIDカードやペイメントカードなどの発行にまつわるソリューションを手掛ける。エントラストジャパンは、PKIや電子認証関連のソフトウェア事業を展開する。2013年に米DatacardがEntrustを買収して社名を「Entrust Datacard」に変更し、2020年9月にEntrust Datacardがブランド刷新を含め社名を「Entrust」に変更した。国内は2法人体制を維持するが、グローバル同様にブランドを「Entrust」に統一する。

 オーストラリア出身のKelsall氏は、6月から2法人のトップを務める。これまでオートデスクやデル、レノボ、サービスソース・インターナショナルなど20年以上にわたって各社の日本法人で営業や事業運営の要職を務めてきた。レノボ在籍時には、NECとレノボのPC事業の統合プロジェクトも担当している。

 今回のブランド刷新についてKelsall氏は、「デジタル時代の顧客体験(CX)においては、IDの信頼と安全で円滑なトランザクションが重要であり、英語の意味にある『信頼の醸成』という役割をわれわれが担っていきたいと考えている」と話す。

 Kelsall氏によれば、例えば、カード発行では、発行者や利用者の情報をカードの磁気ストライプやICチップなどに記録するだけでなく、発行者の要望に応じてデザインや複雑な加工なども手掛ける。そこにはマーケティング的な狙いもあり、金融機関が発行するキャラクターデザインを採用したキャッシュカードやクレジッドカードなどはおなじみだろう。一方で、エントラストが手掛けるPKIや電子証明は、デジタルによるさまざまな取引で真正性を証明したり情報を保護したりするために不可欠なものとなっている。

 現在のビジネスは、両社のソリューションを組み合わせることが多いといい、「例えば、海外では国民のIDカードを行政や民間のさまざまなサービスに活用するシーンが広がっており、そのプラットフォームの多くをわれわれが担っている。直近では、NHS(英国の国営医療サービス)の新たなサービスにも採用をいただいた」(Kelsall氏)

 ビジネスのデジタル化は世界的な潮流だが、コロナ禍によってその勢いは加速しており、Kelsall氏は事業機会が拡大していると話す。特に日本市場では、デジタル化の議論が興隆する行政や医療、金融市場に期待しているといい、多様化する働き方の中で従業員のIDを安全に活用していくニーズが高いという。

 今後国内では、2社のバックオフィス機能の連携など事業運営の効率化を図りつつ、パートナーネットワークを通じてソリューションの拡充と展開の拡大に注力していくという。「事業規模としては日本データカードが大きく継続的に成長させながら、エントラストジャパンのビジネスを拡大させていく」(Kelsall氏)

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Google Chrome Enterprise が実現するゼロトラスト セキュリティの最新実情

  2. ビジネスアプリケーション

    ITSMに取り組むすべての人へ、概要からツールによる実践まで解説、「ITSMクイックスタートガイド」

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. ビジネスアプリケーション

    ITSMの手法を組織全体に拡張、エンタープライズサービス管理(ESM)がもたらすメリット

  5. クラウド基盤

    信頼性と生産性を両立するアプリ環境の構築とは--先進的なIT戦略に取り組むためのガイドブック

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]