Googleは米国時間10月19日、人工知能(AI)を活用した住宅ローン業界専用サービス「Lending DocAI」を発表した。
Googleの製品マネージャーSudheera Vanguri氏によると、現在プレビュー中のこの新ソリューションは、非構造化データセットを正確なモデルに変換し、借り手の収入や資産を正確に評価することで、ローン申請手続きを迅速化できるように設計されている。「Document AI」ポートフォリオの住宅ローン業界向け専用ソリューションとなる。
Lending DocAIは、Vanguri氏が「時間がかかり、複雑なことで知られている」と述べるローン申請プロセスを合理化するために、ローン関連のドキュメントのタイプにフォーカスし、特化したAIモデルを活用する。定型的な書類確認作業を自動化できるため、住宅ローン業者はより付加価値のある判断に注力できる。
Vanguri氏は、ローンの組成や住宅ローンサービスなど、ローン申請のワークフローを高速化できると説明する。
Lending DocAIは、納税証明書、収入、資産明細書を含むさまざまな書類に対応する。有用なデータを取得し、貸し手と借り手の両者のために、住宅ローン申請の複雑さを軽減できそうだ。
Googleは製品デモの中で、このシステムがデータを解析し、請求書および税番号、雇用者の詳細、住所、社会保障番号などの重要な情報を抽出する方法を実演している。取り込んだデータは書類の確認や引き受け業務にも応用できる。
このソリューションは、セキュリティを考慮して設計されたテクノロジースタックを活用しており、「リスクを低減して、コンプライアンスへの取り組みを強化できる」とGoogleは説明している。同社は、潜在顧客を引きつけるために、データのアクセス管理、保管場所、顧客管理の暗号鍵などを用意して、「AI戦略を導入するリスクを低減」した。
Googleは、Lending DocAIを導入し、借り手および貸し手向けの住宅ローン文書処理サービスを構築するために、サンフランシスコに拠点を置く、デジタルレンディングプラットフォームのRoostifyと提携している。
「当社の目標は、適切なツールを提供し、借り手と貸し手のエクスペリエンスを改善するとともに、より短期間で住宅ローンの手続きを完了できるようにして、関係者すべてにメリットをもたらすことだ。Lending DocAIなら、ローン処理の時間とコストを削減し、データ取得を合理化して、規制とコンプライアンスの要件を満たせるように支援できる」(Vanguri氏)
Google Cloudは業界別の取り組みを推し進めており、この新ソリューションはそのような方針を示しているといえる。同社は、サプライチェーン、金融、製造、物流などの業界のエンタープライズ企業向けサービスにフォーカスしている。Google Cloudは最近、これらの分野で実績のある複数のスペシャリストを幹部に迎え入れている。
Google Cloudの最高経営責任者(CEO)Thomas Kurian氏は2月、AIを生かした業界別ソリューションの構築によって、同社は「IT向けに限らず経営層に対しても販売」できるようになると述べていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。