本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、KPMGコンサルティングが開発した「デザインシンキングアプローチを用いたイノベーションアイデアの策定を支援する手法」を取り上げる。
デザイン思考によるイノベーションアイデアの策定を支援
KPMGコンサルティングは先頃、ウィズコロナ時代においてブランド戦略の見直しや製品、サービスのイノベーションを検討する企業向けに、デザインシンキング(デザイン思考)アプローチを用いたイノベーションアイデアの策定を支援する手法を開発したと発表した。
長引く新型コロナウイルス感染症の影響を受け、人々の生活観、仕事に対する価値観、消費行動は激変しつつある。企業も新たな時代に対応するために、ブランド戦略や事業構造の転換、製品、サービス提供の在り方を見直さなければならない局面に置かれている。
多くの企業がニューノーマル(新常態)への対応を模索する中で、時代に対応した新しい価値を生み出すこと、またそのために自社のコアコンピタンスやリソースをどう生かし、異業種のプラットフォームや社外のイノベーションの力をいかに活用するかが喫緊の課題となっている。
こうした背景をもとに、同社では時代環境、事業環境の変化や消費者の新しい価値観を踏まえつつ、デザインシンキングのアプローチを用いて、新たなブランド戦略の立案や今までにないイノベーティブな事業、製品、サービス開発の支援を行う「ブランドイノベーションユニット」を2020年7月に発足させた。
長年に渡って培ってきたさまざまな業種のブランディングやイノベーションコンサルティングの経験にKPMGグローバルの知見を加え、独自に開発したコンサルティングフレームワークをベースに、案件ごとに柔軟にカスタマイズしたコンサルティングを提供している。
デザインシンキングは、ユーザーの視点に立って新しい可能性を発見するための創造的な問題解決における一連のプロセスである。自社で積み重ねてきた経験やナレッジに基づいたアプローチの場合、多くの企業でイノベーションの幅が広がりにくいケースが見受けられる。
KPMGコンサルティングでは、ワークショップにおいて「いかに異業種発想を取り入れるか」と「アイデアの創造的破壊をどう行うか」に着目し、ユーザーのフィードバックに基づいてアイデアを進化、発展させ、「壊す」と「創る」を繰り返すことでイノベーションアイデアの策定を支援する手法「アイデア・トランスフォーメーション・フレームワーク」を開発した。定義、アイデア出し、検証、改善のサイクルを極めて短期間で回し、プロジェクトの目的に沿ったアウトプットを迅速に生み出すことができる。(図1)

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