企業向けクラウドサービスを提供するServiceNowが事業を順調に伸ばしている。ITサービス管理のSaaSで頭角を表してきた同社だが、その正体は「Platform of Platforms」を標榜するPaaSベンダーだ。そんな同社がユーザーに何を提供してくれるのか。ServiceNow Japan社長の村瀬将思氏に聞いた。
オンラインで取材に応じたServiceNow Japan執行役員社長の村瀬将思氏
業務システムと連携する「Platform of Platforms」を提供
「私たちはオフィスのAmazonになりたいんですよ」
こういう興味深い発言を聞くと、つい記事の最初にもってくる記者の性分を、村瀬氏はよくご存知のようだ。こう書き出すと、続けてその意味を説明するのが常とう手段だが、ここでは後ほどにさせていただいて、まずは村瀬氏の話をもとに、ServiceNowとはどんな会社かを紹介しておこう。
同社は、ITから人事、カスタマーサービスまで企業全体に跨るさまざまなワークフローを構築することで、より良い働き方の実現を支援するクラウドサービスを提供している。
2004年に創業。米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置き、グローバルでの社員数は約1万2000人、顧客社数は6200社超、売上高は2019年度(2019年12月期)で34億6000万ドル。2020年度(2020年12月期)は42億ドル台を見込んている。日本法人のServiceNow Japanは2013年9月に設立された。
ちなみに、社名でありサービス名でもあるServiceNowには、「Service」としてのITを今「Now」すぐに届けたいというストレートな思いが込められている。
サービスの概要は、図1に集約される。中段にある「Now Platform」がPaaSで、ここにはワークフローをはじめ、データベース、人工知能(AI)、アナリティクス、ユーザーエクスペリエンス(UX)といった機能を装備している。
図1.サービスの概要(出典:ServiceNow Japan)
最大のポイントは、このNow Platformが下段に記されている各業務のシステムと連携して横断的なワークフローを提供することができる点だ。各業務のシステムには、図に記されているようにさまざまなベンダーの「Platform」とも呼ばれるソフトウェアやサービスが多くの企業で使われているが、Now Platformはこれらを「ラッピング」するようなイメージである。
そして、ServiceNowはこのPaaS上でIT業務をはじめ、従業員や顧客向けにワークフローを展開できるSaaSも提供するとともに、誰でも新たなサービスをローコード/ノーコードで開発できる環境も用意している。こうしたことから、Now Platformは「Platform of Platforms」と位置付けられている。