ガートナー ジャパンが開催した最高情報責任者(CIO)やITエグゼクティブを対象に開催したオンラインイベント「Gartner IT Symposium/Xpo 2020」では、日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役社長の榊原彰氏と、日本マイクロソフト クラウドネイティブ&デベロッパーマーケティング部 シニアプロダクトマネージャーの廣瀬一海氏が登壇し、「ニューノーマルでの継続成長、デジタル変革とレジリエントなビジネスの実践」と題して講演した。本稿はその概要を紹介する。
コロナ禍でも企業には事業継続を求められ、社会では「ニューノーマル(新常態)を受け入れつつあるが、日本マイクロソフトは新常態における社会局面を「Respond(対応)」「Recover(回復)」「Reimagine(再創造)」を3段階に切り分けている。
榊原氏は、「社会活動の『回復』段階に移行しつつある。多くの企業が果敢に挑戦しているが、成功すると新しい社会活動、新しいビジネスの提供が可能になる」と推察し、その際の行動規範を重視している。その上で「『再創造』の局面に正しく着地するためには、思考の基盤を持たなければならない」と提唱した。
日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント 代表取締役社長の榊原彰氏
新常態時代の重要な要素として、日本マイクロソフトではリモートを制約から価値へ変化させる「Remote Everything」、物事が滞らない世界を目指す「Automate Everywhere」、不確実性に備えて最善を求める「Simulate Anything」の3の機軸を掲げる。
榊原氏は、「現代人が(コロナ禍による)大規模な経済停滞を経験するのは初めてだ。全てが計画通りに進むわけではない。だからこそデータドリブンでシミュレートし、結果から確率の高いものを選択する」ビジネスの推進方法が有効になっていくと提案した。さらに、「大規模計画と長期間でリリースする従来の手法ではなく、小規模開発を基盤に改善を継続しながら事業規模を拡大させる思考が必要」とも強調した。
マイクロソフトが掲げる新常態時代の3機軸
これらの概念を下支えするのが日本マイクロソフトの開発ツールや、自動化ソリューションのMicrosoft PowerPoint Platform、Microsoft 365といった製品群とする。特に注目されるは、近年同社が重視する「CCoE(Cloud Center of Excellence)」だ。組織内でクラウドを推進するための仕組みを整え広める専任チームで、シニアプロダクトマネージャーの廣瀬氏は、「デジタルビジョン戦略の策定やクラウド基盤、そして開発環境の整備。例えば『クラウドを使いたい』といえば、翌日にはセキュリティの担保やコストバランスを保った状態で準備できる状態」と説明する。
具体的には組織内で、「デジタルビジョン・戦略」「Well-Architected(整然とした)なクラウド基盤・開発環境整備」「デジタル化されたビジネス・仕事の進め方・システム開発フロー整備」「デジタルに適応した人材・組織の育成」の4つの軸を定義することで、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速が可能だという。
日本マイクロソフト クラウドネイティブ&デベロッパーマーケティング部 シニアプロダクトマネージャーの廣瀬一海氏
現在、日本マイクロソフトはクラウドスキル習得プログラムの「CCoEプログラム」や、クラウドネイティブな構築手法の実践を並走して習得する開発者育成プログラム「Cloud Native Dojo」、短期間でクラウド開発を体験できる「Azure Light-up 超短期実装ハッカソンワークショップ」といったトレーニングプログラムを提供している。
廣瀬氏は、「開発を内製化したい顧客と指導チームが半年間一緒に進めていくCloud Native Dojoを新設した。また、社内ハッカソンでクラウドを使った短期実装に取り組む例は少なくない。このようなニーズに応えたのがAzure Light-up 超短期実装ハッカソンワークショップ」と説明している。
CCoEプログラムの概要