Tableau Softwareは米国時間10月6日、自社のビジネスインテリジェンス/ビジネスアナリティクス(BI/BA)プラットフォーム「Tableau」にSalesforceのビジネスインテリジェンスソフトウェアの「Einstein Analytics」と統合し、「Tableau CRM」と改称することを発表した。これは、2019年6月に発表されたSalesforceによる買収を受けた動きである。
両社の日本法人が11月24日、Tableau CRMの紹介に加え、Salesforce製品全体における位置づけなどについて、記者説明会を開催して説明した。
Tableau CRMは単独の製品として、ビジュアル分析の「Tableau Desktop」、データ準備ツールの「Tableau Prep」、セルフサービス型分析プラットフォーム「Tableau Server」、そのクラウド版である「Tableau Online」といった既存のTableau製品ラインに新たに加わっている。
Salesforceとのネイティブ統合というメリット
Tableau CRMは、Salesforceの顧客関係管理(CRM)機能をネイティブに統合。そのため、SalesforceのCRMの画面内で分析を参照し、行動(アクション)につなげることが可能になると説明。人工知能(AI)を用いた予測機能などが組み込まれているため、未来に対する分析も簡単に実行できるという。さらに、SalesforceのCRMプラットフォームに備わるセキュリティ機能を使えることから、役割などに基づいた情報参照権限を設定して利用することが可能になっている。
SalesforceのCRM上で動作するさまざまな業種や業界向けソリューションとも連携できる。「単に連携するだけでなく、あらかじめビルトインされた専用の予測や分析のテンプレートも豊富に利用可能」とセールスフォース・ドットコムでマーケティング本部プロダクトマーケティング マネージャーを務める岩永宙氏は説明し、セールス、サービス、消費財、金融といった業界を例として挙げた。
金融向けのサービスである「Tableau CRM for Financial Services」では、Salesforceの金融業向けサービス「Financial Services Cloud」と連携できるようになっている。資産アドバイザー、バンカー、保険代理店といった金融業の担当者が主要顧客のトレンドデータにアクセスすることで契約解除リスクの高い顧客を特定する、というように問題への能動的な対処を可能にするという。
Tableau CRM for Financial Servicesの導入メリットとして、岩永氏は、Financial Services Cloudのデータや金融に特化した組み込み済みのアナリティクス機能を利用することで、短期間で高い投資利益率(ROI)を実現できることを挙げる。また、標準機能としてアナリティクス機能が豊富に用意されているため、属人性の高いカスタマイズによる複雑性を回避することが可能。さらに、Salesforceが最新のアナリティクス機能を年3回追加することから、最新の金融アナリティクス機能が将来にわたって提供されると岩永氏は述べる。
Tableau CRM for Financial Servicesは、金融業界におけるペルソナごとに豊富なアナリティクスを標準で用意しているという。世界の金融機関の声をもとにして要望の75%をカバーするアナリティクス機能、ペルソナごとに50以上のダッシュボード、100以上の評価指標(KPI)が用意されていることから、「数週間で導入を完了して実用を開始したという事例もある」(岩永氏)
Tableau CRM for Financial Servicesを資産アドバイザーが使用する場合、ログイン直後の画面では、主要KPIである顧客エンゲージメントなどが表示され、自分の顧客ときちんと関わりが持てているかを俯瞰して可視化できるようになっている。その上で、顧客一人ひとりの分析やインサイトも表示可能。ネットプロモータースコアやさまざまなデータのセンチメント分析から推定された顧客満足度に加え、AI機能を用いた予測による顧客離反や商品購入率を見ることができる。
提供:セールスフォース・ドットコム