データ仮想化がDX時代のデータ統合基盤となる--Denodo

渡邉利和

2020-12-11 11:00

 Denodo Technologiesは12月8日、デジタル変革(DX)とデータ仮想化をテーマとした報道機関向け説明会をオンライン形式で開催した。

 パートナービジネス戦略部長の赤羽善浩氏はまず、総務省が発行している「情報通信白書」について触れた。同書が述べる「データ主導社会によるデジタルトランスフォーメーション」では、現在の「分断されたデータ」「分野ごとに単独で情報ネットワークが構築」という状態から、将来は「分野ごとのデータを『統合』して進化」「価値あるデータへ/新たな価値の創造」に変わる必要があると指摘。その上で、「『つながる』ことで、部分最適から全体最適へ」という方向性が打ち出されている。

総務省の資料による「データ主導社会によるデジタルトランスフォーメーション」の説明図。分断したデータを統合することで新たな価値を創造する、という考え方が打ち出されている
総務省の資料による「データ主導社会によるデジタルトランスフォーメーション」の説明図。分断したデータを統合することで新たな価値を創造する、という考え方が打ち出されている

 そうした背景から、赤羽氏は同社のデータ仮想化の技術がまさに「DXで求められるデータ統合・配信基盤」であることを強調した。同社のデータ仮想化は「接続」「統合」「利用」の3ステップで導入でき、「全てのソースシステムを横断して、全社レベルの情報に対するシングルビューを提供」できるとした。

Denodo Technologies パートナービジネス戦略部長の赤羽善浩氏
Denodo Technologies パートナービジネス戦略部長の赤羽善浩氏

 海外のユーザー事例では、ソフトウェア企業のAutodeskが永続ライセンス収益モデルからサブスクリプション収益モデルへのビジネス転換に成功し、地域コミュニティ銀行のSeacoastBankが論理データウェアハウスを使用したビジネスプロセスの改革と効率化といった、まさに「DXの成功事例そのもの」といった成果を挙げている。

 国内企業でも大日本印刷がDXを推進する効率的なデータ活用支援、大林組がデータドリブン経営を実現するためのDXの推進で、それぞれ同社のデータ仮想化基盤を活用していることも紹介された。

 同社のデータ仮想化では「データの物理的な複製を行わず、リアルタイムにユーザーに届ける」ことが特徴となる。例えば、データウェアハウスの場合、元データを保持するリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)からETL(Extract/Transform/Load:抽出、変換、ロード)処理を経てデータウェアハウス用のデータを作成する。元データのサイズに依存するが、典型的にはETL処理に数時間を要するため、データウェアハウスを使って意志決定を行う際に「過去のデータに基づいた意志決定」になってしまうという課題がある。

 これに対してDenodoのデータ仮想化技術では、データソース(RDBMSなど)とユーザー(分析ツールなど)の間でリアルタイムにデータ変換などの処理を行うことで、常に正確なデータに基づく意志決定ができるようになるという。Denodoがさまざまなデータソースとアプリケーションの間を接続するハブの役割を担い、必要なデータ変換処理をリアルタイムで行うことで「データの物理的な複製なしで論理的に統合」しているのである。

さまざまなデータソースとデータ利用者(アプリケーション)の間をDenodoのデータ仮想化基盤で接続することでシンプル化が実現する
さまざまなデータソースとデータ利用者(アプリケーション)の間をDenodoのデータ仮想化基盤で接続することでシンプル化が実現する
Denodoのデータ仮想化の具体的な手法
Denodoのデータ仮想化の具体的な手法

 なお、Denodoではアプリケーションがデータにアクセスするたびにデータ変換処理を行う形になるが、ほぼ瞬時に処理が完了するのは、アクセスされたデータのみをストリーム処理しているためだという。ETLの場合は大量のデータセットを丸ごと変換するために処理時間が長くなるが、データ仮想化では必要な分だけその都度変換するという形で迅速に処理している。

 逆に言えば、大量のデータを全て変換する必要がある場合は、その変換が完了するまでに要する処理時間はどうしても長くなるため、同社では「データ仮想化はETLの置き換えではない」とし、用途に応じて併用し、すみ分けることで双方のメリットを活用することを想定しているという。

 同氏は、同社のデータ仮想化によってデータの民主化を促進し、データの価値を向上することができ、企業の成長や競争力の向上といった目標が達成できると語り、Denodoを「DX時代に求められる真のデータ統合プラットフォーム」だと位置付けた。

データ仮想化の主なメリットの紹介
データ仮想化の主なメリットの紹介

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