PCデポ、車両型店舗を開発--地域のデジタルデバイド解消を狙う

阿久津良和

2020-12-18 06:45

 PCやスマートフォン販売、修理などを手がける店舗「PCデポ」を運営するピーシーデポコーポレーションは12月17日、同社サービスを地域に届ける車両型新店舗「Connected Mobile Store(仮)」の開発に着手したことを明らかにした。誰もがリモートワークやオンライン授業に参加できる設備を車両に搭載し、ネットワーク環境やデバイスが整っていない地域での活用を想定している。

ピーシーデポコーポレーション 代表取締役社長執行役員 野島隆久氏
ピーシーデポコーポレーション 代表取締役社長執行役員 野島隆久氏

 開発理由として代表取締役社長執行役員 野島隆久氏は「地域のデジタルデバイド(格差)を解消したい。すべてのお宅に(同社会員制のサブスクリプションサービスである)デジタルライフプランナーで『デジタル担当』を提供する」と説明した。

 サービスは2021年夏から既存店舗を構える全国各地域での開始を予定。利用には5000円の入会金に加えて、同社の会員制サービス各種コース月額会費1000円~が必要。もしくはConnected Mobile Storeの有料会員費(価格未定)の支払いを想定している(いずれも税別価格)。

車両がある場所がデジタル最先端基地

 世の中は本誌読者のように、ITもしくはデジタルに精通している方ばかりではない。使い方が分からないといって、スマートフォン決済を試さない年配層や複雑な携帯電話料金システムに戸惑う方もいる。

 同社の現在の主力ビジネスは2018年度から開始した「デジタルライフプランナー」だという。3~5人で構成されたチームが500~800世帯の家庭を担当し、前述したデジタルに関する課題解決や悩みごとの相談に乗り、快適なデジタル生活を実現できるというサービスだ。同様の仕組みを店舗に訪れた会員だけではなく、自ら赴くのがConnected Mobile Storeである。

 車両に乗り込んだ3~5人程度のスタッフが、電源が入らなくなったPCのストレージからデータを回収し、起動しなくなったスマートフォンのアプリケーションを利用可能にするなどの修理に対応。また、スマートフォン決済の使い方を教えるとともに、携帯電話料金の節約相談にも対応する。商品在庫は搭載しないものの、車両自身は多くの機能を備えており、自身のノートPCを持ち込めば、動画配信可能だという。

 前述の通り、Connected Mobile Storeの1号機は2021年夏の完成を予定しているが、「2021年中に5台程度の開発を見込んでいる。その後は市場や協業企業と相談しながら」(野島氏)拡充を目指す。野島氏は「車両がある場所がデジタル最先端基地になる」と主張した。

Connected Mobile Storeで提供する主なサービス Connected Mobile Storeで提供する主なサービス
※クリックすると拡大画像が見られます

 Connected Mobile Storeは全国約130店舗を構える地域での展開を想定し、「1台で実店舗5カ所程度の効果」(野島氏)を持つことから、「25カ所から30カ所の地域をサポート」(野島氏)できるという。ターゲットは地方に限らず、「都内にも町内会などデジタル過疎地がある。子育て世代など家庭で(デジタルを)必要とする層が対象」だと説明した。

 サービス開始前であることから利用料金は不明確な点が多いものの、基本的にはサブスクリプション型の有償サービスとなる。ビジネスモデルについて野島氏は「(現時点で)競合他社もおらず、粗利率は高い。業績に大きく貢献する」と語った。同社は直営車両型店舗の展開、拡大に加えて、各企業や地域との連携、協業を通じてConnected Mobile Storeサービスの拡大を目指す。

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