本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、PwCあらた有限責任監査法人が提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)経営に向けた「データガバナンス診断ツール」を取り上げる。
「DX経営ガバナンス」強化支援サービスとして新開発
PwCあらた有限責任監査法人は先頃、「データガバナンス診断ツール」の提供を開始すると発表した。2020年9月に発表した「DX経営ガバナンス」強化支援サービスの一環として開発したものである。
このサービスは、人工知能(AI)やロボティックプロセスオートメーション(RPA)に投入するデータの質がDXの成功に大きく関わることに着目。データの質を継続的に担保していく取り組みを行う上で必要な態勢について、ベストプラクティスなどとのギャップ、強みや弱み、改善点を識別し、現状を診断することができる。(図1)
※クリックすると拡大画像が見られます
なお、DX経営ガバナンスとは、DX推進とリスクガバナンスを融合させた、PwCあらたが独自に考案した概念である。「DX経営ガバナンス」強化支援サービスについては、PwCあらたのサイトを参照していただきたい。
近年、データに基づいた意思決定を行うために、バラバラに管理していたデータを統合し、データ基盤を構築する取り組みを行う企業が増えてきた。データ管理が一元化されると、全社的な情報の流れが整理され、データの定義が共通化されるとともに、管理コストが下がり、セキュリティが強化される形となる。
しかし、データ統合や管理一元化の過程で、「データの蓄積レベルが中途半端で戦略と適合していない」「AIやRPAに投入されるデータの質が担保されているか不明」「データ基盤を作ったが継続する仕組みがなく陳腐化した」「データに関する明確な管理ガイドラインや指針がなく、データの質に対する証明ができない」といった懸念の声が上がっている。
データガバナンスおよびその管理は継続することが難しい取り組みであり、多くの企業が、取り組んだにもかかわらず、継続できずに失敗してしまった経験を持っている。
PwCあらたではこのような状況から、データを対象とした、持続可能なデータガバナンスおよびその管理が必要だと考え、アシュアランス業務で培ってきたガバナンス、セキュリティ、内部統制や業務監査などの知見、経験を生かし、持続的なデータガバナンス態勢が構築されているかを診断し、また態勢構築のための必要事項を洗い出すツールを開発した。(図2)
※クリックすると拡大画像が見られます