これまでの連載で、プロジェクト管理ツール「Backlog」の基本的な機能とその利用シーンについて紹介してきた。連載の最後は、Backlogを開発するヌーラボ(福岡市中央区)に、Backlogの現在の状況と今後の展望について話を聞いた。ユーザーの声を通して、Backlogが多くの企業で受け入れられている理由と、Backlogが目指す「プロジェクト管理」のあり方を探る。
Backlogを導入する企業の悩み
Backlogは多くの会社で、プロジェクト管理のみならず業務管理やコミュニケーション基盤として導入が進んでいる。実際にユーザーは、どのような課題感を抱えてBacklogを選ぶのだろうか。
「多くのマネージャーが悩むのが、日々の進捗確認のためのやりとりです。正確な状況を掴むために個別のやり取りやミーティングが増えてしまうと、メンバーに負担が掛かり、チームの雰囲気が悪くなったり、生産性が下がったりしてしまいます」。そう話すのは、ヌーラボ Backlog Product Managerの白川宏昭氏だ。
ヌーラボ サービス開発部 Backlog課 Product Manager 白川宏昭氏
第1回でも紹介したとおり、曖昧で混線するやり取り、形式の不揃いによる記入漏れや解釈違いなど、口頭、メールベースやスプレッドシートによるタスク管理は破綻しやすい。現代のプロジェクトは、部署や組織、さらには企業の壁をも超えて、複数のチームがコラボレーションをすることが増えている。チームが複雑かつ多様になるほど、フェイス・トゥ・フェイスによる解決は難しくなるし、コロナ禍の下ではなおさらだ。白川氏によれば、Backlogの導入を検討する企業の多くが抱えている課題が、この進捗確認の負担だそうだ。
加えて、タスク管理が行き届かなくなると、行き当たりばったりで管理表を作ったり、個々人が独自の方法で自分のタスクを管理したりするなど、情報がさまざまな媒体に散逸してしまいがちだ。
集約と確認に手間が掛かり、情報が全体に迅速に共有されなければ、チームでうまく連携が取れず、タスクの対応漏れや全体の不整合が生じやすくなる。業務やプロジェクトに関わる情報が、Backlogのような一つのプラットフォームにまとまっていて、複数の経路を参照しなくても済むことが、コラボレーションの障害を取り除く秘訣だ。