Backlogが多くの企業に受け入れられる理由
プロジェクト管理ツールはBacklog以外にもさまざまなツールが存在し、それぞれ強みを持っている。その中で、Backlogが非ITを含む多くの企業に受け入れられているのはなぜだろうか。ヌーラボによれば、Backlogの競合製品に対する強みは、操作性がシンプルで、ITに詳しくない人でも、少ない学習コストですぐ使えるようになる特長だという。
高度な機能を提供する代わりに、実際の業務に適用するには複雑なカスタマイズやプラグインなどの導入が欠かせないツールも多い。またIT特有の独自用語の多さなども、非IT系の業務への導入には支障となりがちだ。Backlogは細かいカスタマイズは提供しないが、タスクのステータス(課題の状態)がデフォルトで用意されているなど、Out-of-the-box(導入してそのまま使える)な操作性を実現している。加えて、IT系以外にも受け入れられやすい雰囲気作りにも心を砕いているという。
ヌーラボ マーケティング部 マーケティング課 セールスプロモーション係 井上美穂氏
「例えば絵文字対応や課題、コメントに『いいね』にあたるスターを付けられる機能などで、テキストだけでは伝えにくい、『ありがとう』といった気持ちを伝えることができます。プロジェクト管理に必須の機能だけでなく、プラスアルファで普段の仕事を楽しくする遊び心をBacklogに盛り込むことを心がけています」と、ヌーラボ マーケティング部の井上美穂氏は語る。
導入の決め手は“複雑さ”がない
これらのBacklogの強みを生かしたケースとして、アマナ(品川区、連結従業員数1107人)のBacklog導入事例を紹介したい。
システムの開発部門と事業部門の共同プロジェクトが増えたため、共通のプロジェクト管理ツールが必要になった。Backlogを導入した決め手は、ビジネスの主体である事業部も抵抗なく使える「見た目や操作の“複雑さ”がない」ことだったという。その結果、事業部門と開発部門の連携もスムーズになり、先程挙げたような複数部署のコラボレーションの問題も解決したそうだ。
一方でどのようなツールにも向き不向きがある。白川氏によれば、Backlogで管理するのが適切なチームの人数は、1プロジェクトあたり最大で20~30人ほどまでが望ましいそうだ。
メンバーが100人を超えるような大規模なプロジェクトでは、複雑なカスタマイズ性やより高度な管理機能が求められるからだ。ツールの導入にあたっては、向き不向きや、導入しようとする業務の性質に合わせて、さまざまな選択肢を検討する必要がある。
Backlogが目指すビジョン
ここまで現在のBacklogの使い方について紹介してきたが、これからBacklogはどのような製品を目指すのだろうか。言い換えれば、Backlogはどのようなプロジェクト管理のあり方を実現しようとしているのか。
「Backlogが目指すプロジェクト管理は、チームを強制的な手段で管理するのではなく、メンバーが自ら気づいて、自律的にタスクを進めていく意識を高めることにあります」と白川氏は話す。具体的な計画については明かさなかったが、Backlogに蓄積されたデータの可視化を推し進めていく方向だという。
加えて、白川氏が指摘したのが、プロジェクト管理の民主化だ。プロジェクト管理は、PMBOKに代表される知識体系が存在するほど奥深い領域だが、学習のハードルは高い。プロジェクト管理に精通していないチームでも、それらの知見を活用できるようになれば、ものづくり、業務など様々な領域の生産性を高めることができる。
「Backlogを使うことで、チームが本来の業務に集中しながら、自然とプロジェクトマネジメントの知見を応用して、同じ効果が得られるツールを目指しています」と白川氏は語った。