デジタルマーケティングを支援するアンダーワークス(港区)は2月2日、「マーケティングデータマネジメント取り組み実態調査2021年版」を発表した。多様な理由でデジタルチャネルが主軸化しつつあるが、同社の調査によれば、上場企業の約9割がデータ管理がマーケティング成果の向上につながると認識し、約4割以上が取り組みに着手している。

アンダーワークス 代表取締役社長 田島学氏
だが、多くの企業が部分的なデータ連携・活用から抜け出せていない状況にあるという。2月1日に開かれた記者会見で代表取締役社長 田島学氏は「組織間連携や専門家のリソースが足りず、一歩踏み出せていない」と調査結果を分析した。
顧客の姿が見えにくい
顧客体験を向上させる「Experience Focused Marketing」などを提供するアンダーワークスが、2020年12月1~25日に272社の主任クラス以上を対象にした調査によれば、顧客データ統合基盤(Customer Data Platform:CDP)に代表される顧客データの重要性を認識しながらも、その取り組みは業種によって異なるという。
全体で見れば重要性を認識する割合は87%におよぶが、コンピューター製造業は100%、通信業は83%が「非常に重要」と回答する一方で建築業は21%、不動産業は19%と著しく低い。これは顧客対象や業務の流れによって左右される業態差が影響していると思われる。
データ管理に取り組んでいる企業の割合は前述のとおり45%におよぶが、BtoC企業に限定すると53%まで上昇する。さらに年商2000億円以上の大企業(BtoB含む)に限ると62%まで数値は高まり、コロナ禍における顧客とのタッチポイントに苦慮している姿が見え隠れした。
自社のデータ活用成熟度を各企業に問うと、7つの段階に分類した状態で圧倒的に多いのは部分的なデータ連携に取り組んでいるが、統合管理に至っていない2段階目が53.7%と圧倒的に多い。
田島氏は「3段階目に進むには大きな(イノベーション普及の溝を指す)キャズムがある。大きな壁があり、進むのが難しい」とコメントした。
企業が取得するデータの種類を問うと、「ウェブサイトからの問い合わせデータ(62.9%)」「営業担当者の商談管理や顧客データ(50%)」「名刺データ(48.5%)」が上位に並ぶ。年商5000億円以上の大企業に限定すると、「外部から購入するデータ(67.6%)」「顧客アンケートや満足度調査のデータ(64.7%)」「メール登録者データや配信データ(63.8%)」が上位に並ぶ。
「約4割の企業が10種類以上のマーケティングデータを保有し、(データの規模は)企業規模に比例している」(田島氏)
収拾したデータから企業が得たい結果として、「顧客接点の把握やBI(ビジネスインテリジェンス)による可視化、需要分析と把握(64%)」「社内業務効率化や無駄の削減、部門間連携の促進(52.6%)」「施策の効果なども含めたPDCAサイクルの実施(50%)」が上位にトップ3に並んだ。