スマートシティのプラットフォーマーに求められるものとは
以上が発表の概要だが、今回この新ブランドについて取り上げたのは、NTTデータがNTTグループをバックボーンにして、スマートシティのプラットフォーマーとして本格的に名乗りを上げた形だからだ。
プラットフォーマーが担う最大の役割は、「大量かつ多様なデータのセキュアな連携、活用基盤」であることだ。とりわけ、スマートシティのような巨大な仕組みのプラットフォーマーとなると、「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」といったメガクラウドサービスが適用されるイメージだが、NTTデータのこれまでの事業形態から見ると、それらのメガクラウドも要素として取り込んだ形のマルチクラウドプラットフォームを構築していくものと思われる。
NTTデータでは今回の発表に際し、SocietyOSの持つ特長を生かし、提供可能なサービスやソリューションラインアップを継続的に拡充していくことで、以下のようなユースケースを実現していく構えだ。
- 天気や混雑などのエリア情報やセール、新商品などの商品情報、個人の趣味嗜好や体調などのヘルスケア情報を考慮し、個々人にあったお店や目的地までの最適ルートを案内する個人向けレコメンドサービス。
- ウィズコロナ社会において重要な、混雑予想による密回避や災害時に安全で混乱を避けたルートでの避難誘導。
- 需給予測による発注最適化、在庫や人流予測から最適な価格を設定するダイナミックプライシング、余剰予測と不足予測によるシェアリングマッチなど、フードロスゼロ社会等の実現
- 引っ越し時の行政、公共手続きなど、多方面への同じような手続きはいつでもどこでもワンストップ申し込み。
- 仮想現実(VR)などによるバーチャル空間を活用した遠隔地でのショッピングや遠方とのコミュニケーションの実現、過去のデータから未来に起こることをシミュレーションするなど、リアルとバーチャルの融合。

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NTTデータは今後、社会を構成する行政、企業、市民などのさまざまなステークホルダーとの対話を通じて、SocietyOS上に提供可能なサービスやソリューションラインナップを継続的に拡充し、2025年度末(2026年3月末)までにこの分野の売上高として100億円を目指す構えだ。
5年後の事業目標としては慎重な数字のようにも見えるが、スマートシティの進展がどれほどのスピードになるか、読めないところがあるのだろう。ただ、将来的に非常に大きな市場であることは間違いない。今回のSocietyOS構想に、その壮大さを十分に感じることができるのではないだろうか。