米Oracleは3月18日、「Oracle Autonomous Data Warehouse」のクラウドサービスにおける大幅なアップデートを発表した。データウェアハウス(DWH)のユーザー層を市民データサイエンティストやLoB(Line of Business:現業部門)などへ広げるべく、SQL入力不要のデータ登録や自動型機械学習などを新機能を提供する。
Autonomous Data Warehouseは、同社の自律型データベースサービス群の1つで、2018年から提供されている。これまで導入・展開や設定、チューニング、パッチ適用、拡張、バックアップなど主に運用面の自動化機能が追加されてきたが、今回のアップデートは同サービスの次世代版と位置付けている。
データベースおよびAutonomous サービス担当グループバイスプレジデントのSteven Zivanic氏は、日本メディアのインタビューに応じ、「今日のクラウドDWHサービスの大半がIT部門による運用管理を前提としている。Autonomous Data Warehouseは運用管理の自律化を図り、シンプルなユーザーインターフェース(UI)の提供と、AI(人工知能)やブロックチェーンといった機能があらかじめ組み込まれ、高度なスキルを伴うことなく誰もがDWHを簡単に利用できるようにする」と述べた。
一部のプロフェッショナルだったDWHのユーザー層を広げるという
新機能については、Autonomous Data Warehouse製品担当バイスプレジデントのGeorge Lumpkin氏が、データアナリスト、データサイエンティスト、LoBのターゲットユーザー層ごとに説明。シンプルなUIとセルフサービスの拡充により、DWHの利用促進を図るとする。
まずデータアナリスト向けには、データのETL(データの抽出、変換、加工)やクレンジングといった処理をクリック操作やドラッグ&ドロップ操作のみで行えるようにした。従来のAutonomous Data WarehouseではSQL文を記述する必要があったが、今回からはデータアナリストが行う処理をUI上でクリックするだけでよく、ロードするデータの指定や取り込みなどもドラッグ&ドロップで行い、テーブルの指定などを設定するだけで、DWHにデータを展開できるようになっている。
データの取り込みや変換、加工といった作業をUIで簡素化した
データの取り込みや変換、加工といった作業をUIで簡素化した
Lumpkin氏は、クラウド上やローカル環境などにあるOracle Databaseを含むさまざまなデータベース、業務アプリケーション、SaaSアプリケーションのデータを利用できると説明した。
また、「市民データサイエンティスト」と呼ぶ業務の中でデータ分析も行うユーザーに対しては「AutoML(機械学習)」機能を提供する。ユーザーは分析対象とするデータセットと分析目的を指定することにより、Autonomous Data Warehouse側があらかじめ組み込まれているさまざまな機械学習のアルゴリズムの中から最適なアルゴリズムを検証し、ユーザーに提案する。
「AutoML」機能では、分析目的に即した機械学習アルゴリズムをスコアで提案する
LoBユーザーも、これら機能や既にAutonomous Data Warehouseへ実装済みのローコード開発ツールを利用することで、DWHを活用した業務アプリケーションなどを容易に開発していけるとした。
現場業務のユーザーも新機能とローコード開発環境を利用して業務アプリケーション開発が容易にできるという