デジタル空間におけるプライバシーへの関心が高まる中、仮想プライベートネットワーク(VPN)サービスプロバイダーのNordVPNが実施したサイバーセキュリティに関する知識と技術に関する調査によれば、日本は21カ国の中で最下位だった。デジタルプライバシーに関する知識が醸成されておらず、教育の必要性が指摘されている。
この調査は2020年11月に行われ、オンラインプライバシーのスキルと知識を評価する20の質問に4万8063人が回答した。このうち400人以上が回答した21カ国の状況について分析し、世界平均のプライバシースコアが65.2、デジタル習慣が47.1、デジタルプライバシーに関する知識が72.2、オンラインリスクの許容度が84.2となっている。
デジタル習慣では、利用規約を読まずに同意するという回答者が約36%、ウェブブラウザーのシークレットモードといったプライバシーツールを理解している回答者が約41%だったが、利用しようとするアプリケーションの権限を確認するとの回答者は約86%に上った。
また、デジタルプライバシーに関する知識では、強力なパスワードを設定する方法(同社は「大小の文字、数字、記号などを含め14文字以上」としている)を知っているとする回答者が約88%だった。オンラインリスクの許容度では、「銀行」になりすまして送信されたフィッシングメールに対応する方法を知っているとする回答者が約95%に上っている。
プライバシースコアの国別のトップはドイツの71.2、最低は日本の44.4だった。ドイツは、デジタル習慣、デジタルプライバシーに関する知識、オンラインリスクの許容度の3項目においていずれもトップだった。日本は、デジタル習慣では19位だったが、デジタルプライバシーに関する知識とオンラインリスクの許容度は最下位だった。
日本の回答者は、約29%が新しいアプリを利用する際にプライバシーポリシーを読んでおらず、約19%がプライバシーポリシーを読んでいたか覚えていないとした。また、約27%は、ウェブブラウザーの履歴を削除さえすれば、オンライン上での痕跡を消し去ることができると考えていた。この他にもデジタルプライバシーの専門家は、「43.2%の回答者が、新たに発見された脆弱性に関するデバイスやソフトウェアのアップデートを行わないと答えたことも悪い状況」と指摘している。
調査結果についてNordVPNは、デジタル先進国のイメージがある日本が最下位となったことが驚きだとし、技術先進国のイメージがあるロシアやIT人材を世界に輩出しているインドも世界平均より低い結果に意外だったと述べている。