PwC Japanグループは3月30日、「2021年AI予測調査日本版」の分析結果を発表した。それに伴い同日、説明会が開催された。説明会では同調査の結果を基に、日本の人工知能(AI)活用の現状、日本企業がAIを活用してビジネスを変革するために取り組むべき課題やアクションなどを説明した。
同調査はAIを導入済み、または導入を検討している日米の企業の部長職以上を対象にウェブで実施。日本では2020年12月に315人、米国では同年10月に1032人へアンケートした。日本では2020年3月にも実施しており、第2回目となる今回は、日本における変化、米国との違い、違いの変化を分析したという。
PwCコンサルティング パートナー 兼 PwC Japanグループ データ&アナリティクス リーダー 兼 AI Lab リーダーの中山裕之氏は「今回の調査結果のキーワードは、『二極化』。AIを活用している企業とそうでない企業や、人材育成に着手している企業とできていない企業などの二極化が目立つ」と述べた。
続けて、PwCコンサルティング シニア・アドバイザー 兼 AI Lab 顧問のYann Bonduelle氏が「日本企業のAI活用に関する5つのトレンド」を説明した。
トレンドの1つ目は、「二極化が進んでいるAI導入」。AIの業務への導入状況について聞いたところ、「全社的に広範囲の業務にAIを導入している」と回答した企業は、第1回の調査では5%だったのに対し、第2回の今回は3倍以上の16%に増加した。「一部の業務でAIを導入している」と答えた企業も含めると、第1回の27%から43%に増加した。一方、「AI導入を検討中」の企業は、第1回の37%に対し33%と微減した。
米国の結果と比較すると、「全社的に広範囲の業務にAIを導入している」「一部の業務でAIを導入している」と答えた米国企業の割合は58%で、日本企業との大きな差は見られなかった。一方、「AI導入を検討中」とした企業の割合は7%で、日本(33%)との差が大きい。
2つ目は、「攻守どちらも効果が出始めているAI投資」。日本企業におけるAIへの投資効果の内容は、上から「業務効率化と生産性向上」(30%)、「製品/サービスの革新」(24%)、「コスト削減の実現」(23%)だった(図1)。米国では、「より良い顧客体験の創出」(67%)、「社内の意思決定の改善」(54%)、「製品/サービスの革新」(53%)となっている。日本企業は、支出などの減少を目的とした「守りの投資」、米国企業は直接的な収益改善を目指す「攻めの投資」を行う傾向がある。
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