調査

企業におけるバックアップの58%が失敗している--ヴィーム調査

渡邉利和

2021-04-08 10:22

 ヴィーム・ソフトウェアは4月7日、データ保護に関する経営層調査「データプロテクションレポート2021」について、報道関係者向けにオンライン説明会を開催した。同レポートはグローバルで3月18日に公表されたものだが、今回はアジア太平洋および日本(APJ)地域向けの分析結果が紹介された。

Veeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDave Russell氏
Veeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDave Russell氏

 同社 執行役員社長の古舘正清氏は、レポートが毎年実施されている調査に基づくもので、調査対象者は世界全体で約3000人、うち日本は200人超であることを説明した。続いて、詳細を説明したVeeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDave Russell氏はまず、日本の課題として「レガシーシステムのデータ保護」を挙げ、「予定外の停止が少なくとも年に1回発生するサーバーの割合」が17%に達する一方、「バックアップジョブ全体におけるエラーの割合」が36%、「リストアジョブ全体おけるエラーの割合」が29%に達することから、合計で考えると「重要なデータの半分しか復旧できない」と指摘した。

日本のデータ保護の課題。およそ5分の1弱のサーバーが年間に少なくとも1回は予定外の停止を起こす一方で、バックアップジョブのエラーとリストアジョブのエラーを合計すると55%に達する
日本のデータ保護の課題。およそ5分の1弱のサーバーが年間に少なくとも1回は予定外の停止を起こす一方で、バックアップジョブのエラーとリストアジョブのエラーを合計すると55%に達する
バックアップに関する課題についての回答のうち、日本の回答を抽出した結果。障害の主要原因はいまだにハードウェア障害が過半を占めるという
バックアップに関する課題についての回答のうち、日本の回答を抽出した結果。障害の主要原因はいまだにハードウェア障害が過半を占めるという

 なお、ここで言うエラーには予定されたバックアップウィンドウ(システム停止できる時間帯)の範囲内でジョブが完了しなかった場合も含んでいる。また、「主要なバップアップソリューションを新しいソリューションやサービスに切り替える理由となるのは?」という質問に対する回答の上位の「バックアップの信頼性(成功率)を改善するため」「投資利益率(ROI)や総所有コスト(TCO)を改善するため」「オンプレミスのデータ保護からクラウドベースのデータ保護サービスに移行するため」といった回答が長年にわたって変化していないことも指摘した。

 一方、新型コロナウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)がデジタルトランスフォーメーション(DX)に与える影響については、日本企業の62%が「DXの取り組みを加速」したと回答しており、これは世界平均(54%)を上回る結果となっている。「DXにはデータが不可欠」であることと、先のデータ保護が行き届いていないことを考え合わせると、今後も継続的にDXの取り組みを推進していくためにはデータ保護を強化する必要があることは間違いないだろう。

DXに関する質問では、パンデミックがDXを加速させたとの認識では世界平均を上回っている
DXに関する質問では、パンデミックがDXを加速させたとの認識では世界平均を上回っている

 また同氏は「アプリケーションのダウンタイムによって受ける影響として考えられるものは?」という問いに対する回答として、「顧客からの信用喪失」「ブランドへのダメージ」といった対外的な影響に続く第3位の回答として「従業員からの信用喪失」が上がったことを取り上げ、ダウンタイムが発生することで有能な人材の流出につながるリスクについても懸念があることを指摘した。

 最後に、「クラウドバックアップ」については、日本の回答者の26%がBaaS(Backup-as-a-Service、SaaS型バックアップ)を採用しているとし、今後の予想として「2023年には41%まで上昇する」とした。同氏は「リストアを成功させるためには、まずバックアップに成功している必要がある」と強調し、確実にデータを保護するためにはまずバックアップにおけるエラー発生を解決する必要があると語った。

クラウドバックアップでは、バックアップされていないデータの比率が世界平均をわずかに上回る。さらに今後BaaSの活用が伸びていくことが予想されている
クラウドバックアップでは、バックアップされていないデータの比率が世界平均をわずかに上回る。さらに今後BaaSの活用が伸びていくことが予想されている

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