Gartnerの新しい予測によると、一部の業界では、IT支出がパンデミック前の水準に戻るのは、2023年になる見通しだという。
企業がデジタルトランスフォーメーションイニシアチブを推進する中で、世界のIT支出は2021年に8.4%増加して、4.1兆ドルに達すると予想されている。
Gartnerによると、すべてのIT支出セグメントは2022年まで成長し続ける見通しで、その中でもデバイス(14%)とエンタープライズソフトウェア(10.8%)が最も成長するという。この背景には、昨今のリモートワークやハイブリッドワークへの移行を受けて、組織が従来のワークスペースを再考するようになったことがある。
ただし、IT支出がパンデミック前の水準に戻る時期は、国や業界によって異なるだろう、とGartnerは述べている。銀行、証券、および保険といった業界の支出は、早ければ2021年にパンデミック前の水準まで戻る可能性があるが、小売や運輸といった業界では、「2023年が近づく頃まで、同様の回復は見られない可能性もある」。
Gartnerによると、中国はすでに2019年のIT支出レベルを上回っているが、北米と西欧はいずれも2021年後半に回復し、中南米は2024年に回復する見通しだという。
同社によると、2021年にIT支出の急増をもたらすのは、従来のIT部門ではなく、デジタルトランスフォーメーションを進める社内のほかの部門だという。これらの部門では、ITは売上原価(CORまたはCOGS)として計上される。
GartnerのリサーチバイスプレジデントであるDavid Lovelock氏は、「ITは、従来のように企業運営をサポートするだけでなく、ビジネス価値の提供にも全面的に関与するようになっている。これにより、ITがバックオフィスの役割からビジネスの最前線に躍り出るだけでなく、資金源も、維持および監視され、時には削減される間接費から、収益を促進するものへと変化する」と述べた。
投資が増加しているITセグメントの1つが、ソーシャルソフトウェアとコラボレーションプラットフォーム、人的資本管理(HCM)ソフトウェアだ。これは、従業員体験とウェルビーイングがより重視されるようになった結果である。
最高情報責任者(CIO)は引き続き最適化とコスト削減に注力するが、2021年中のITリーダーの優先事項は、デジタルトランスフォーメーションイニシアチブを最後までやり通して、自社の価値を向上させることになるだろう、とGartnerは述べた。
「2020年のIT支出は、数週間でリモートワークを可能にするために、『条件反射的』なものになった。ハイブリッドワークが定着するにつれて、CIOはタスクの完了だけでなくイノベーションも可能にする支出を重視するようになるだろう」(Lovelock氏)

Gartnerによると、支出がパンデミック前の水準に戻る時期は、国や業界、ITセグメントによって異なる見通しだという。 提供:Christina Morillo/Pexels
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。