(編集部より:本記事はメディアシークによる寄稿です。)
オンライン化に向けて管理システムはどう選ぶ?
前回はスクール事業をオンライン化するメリット、オンライン化に当たっての注意点などについて述べました。今回は、オンラインスクールの具体的な運営についてお話ししたいと思います。
スクール事業のオンライン化に当たっては、バックエンド業務のデジタル化も進める必要があります。バックエンド業務には「生徒の管理」「レッスンの管理」「講師の管理」「会計管理」などがあり、こうした業務を一元管理できる管理システムを利用するのが最善です。前編でも触れましたが、「マイクラスリモート」「ストリートアカデミー」「STORES (ストアーズ)」など、スクール事業者向けのさまざまなツールやネットサービスが提供されています。
管理システムを選択する時のポイントは、大きく3つあります。まずは、必要な機能がそろっているかです。レッスンの予約/キャンセル機能はもちろん、オンラインレッスンで使用する「Zoom」などのウェブ会議ツールと連携できるか、クレジットカードの決済機能はあるか、受講者へのお知らせメールなどの自動送信機能はあるか、といったことを確認します。必要な機能については、各種サービスの特徴/機能を比較してみるといいでしょう。
2つ目は、初期導入費用や月額費用といったコストです。顧客管理システムには、ソフトウェアをPCにインストールするパッケージ型と、サーバー上に置かれたソフトウェアをインターネット経由で利用するクラウド型に分かれます。一般的に、パッケージ型は初期費用が高くなりますが、月額利用料を抑えられます。逆にクラウド型は初期費用を抑えられる半面、月額利用料が高くなる傾向があります。また、管理する顧客の数によっても初期費用や月額利用料が変わってくるので、スクールの規模から試算してみましょう。
3つ目は、システムの使いやすさです。各種バックグラウンド業務の連携がスムーズで、操作の分かりやすいものがおすすめですが、それだけではありません。受講者側に立って使いやすいものを選ぶことも重要なのです。レッスン予約/キャンセルの手順が複雑、教材の買い方が分からない、といった理由でレッスンを辞めてしまう受講者が出るようでは困ります。
以下では、スクール向け管理システムの導入事例を紹介しながら、導入のポイントなどを見ていきましょう。
対面とオンラインを並行実施--多摩大学大学院
東京都多摩市にあるビジネススクール・多摩大学大学院では、コロナ禍を受けて2020年春からオンライン形式の授業になりました。講師は大学院から配信し、学生は自宅で受講するという形式です。
同大学院 ルール形成戦略研究所の福田峰之客員教授は「対面の時と比べるとホワイトボードに書くことが減った。ホワイトボードをカメラで映すのは見づらい」と、対面とオンラインの違いを指摘します。
2020年秋からは、対面とオンラインを学生が選べるようになりました。対面のゼミに参加したいという学生は多く、現在は8割が対面、2割がオンラインという状況です。福田教授は「基礎的な学習をするならオンラインで問題ないが、グループワークやプレゼンテーションなどを実施するには限界がある」と分析しています。
一方で、「対面のレッスンに参加できる人だけを対象にする時代は終わる」とも述べます。オンライン化したことで全国から参加できるようになり、人を集めやすくなったそうです。また社会人の場合、従来は転勤などで通学できなくなる人がいましたが、オンラインという選択肢ができたことで継続できるようになりました。