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AWSが示した新たなアプローチによる誤り耐性量子コンピューターの"青写真"

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2021-04-30 06:30

 Amazonのクラウドコンピューティングを手がける子会社Amazon Web Services(AWS)は未来の量子コンピューター向けの新たなアーキテクチャーを詳説する同社初の研究論文を公開している。これが実現した場合、量子情報処理における誤り訂正手法の新たな標準になる可能性がある。

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Amazon Web Services(AWS)が、量子計算につきものの誤りを極限まで抑えるための、量子ノイズ耐性を有したコンピューターの実現に向けた新たな青写真を公開した。
提供:Getty Images/iStockphoto

 同社は、量子誤りへの耐性を備えた量子コンピューターの新たな青写真を公開した。この青写真は現在のところ、純粋に理論上の話だが、量子ビット(キュービット)を制御し、計算処理を可能な限り正確なものに保証するための新たな道の存在を示すものとなっている。

 この論文は量子誤り訂正(QEC)という分野の発展に向けて力を注いでいる多くの研究者の注意を引くことになるだろう。QECは実用的な大規模量子コンピューターを完成させる上で立ちはだかっている重大な障害の1つを解決するための分野であり、量子コンピューティングの進歩とともに発展を遂げている。

 量子システムは、その指数関数的な計算能力の向上によって、金融から創薬までのさまざまな分野でブレークスルーをもたらすと期待されているが、計算結果を損なう不完全性、すなわち誤りの問題で今なお壁に直面している。

 量子コンピューターの構成要素である量子ビットは、古典的なデバイスで採用されている1か0かというビット表現による状態ではなく、1と0を同時にとり得る特殊な量子状態に保たれている。これによって量子コンピューターは数多くの計算処理を同時に実行できるようになるが、この量子ビットは極めて不安定な性質を有しており、外部環境にさらされると同時にその量子状態が崩壊する危機にさらされる。その結果、量子ゲート内での量子ビット計算処理の結果を、高い信頼性のまま保持しておくことが保証できなくなる。このため科学者らは現在、量子ビットに誤りが発生したことを知り、その誤りを訂正する方法の確立に向けて研究を進めている。

 AWSにおける量子コンピューティングセンターのリサーチサイエンティストであるPatricio Arrangoiz-Arriola氏とEarl Campbell氏は同社ブログに、「量子アルゴリズムに有益な処理をさせる、すなわち古典的なアルゴリズムを大幅に超える利点を生み出させるというのであれば、数百万から数十億程度の量子ゲートが必要になるだろう。しかし残念なことに、量子アルゴリズムの構成要素となる量子ゲートには誤りがつきものとなっている」と記し、次のように続けている。

 こういった誤りの発生率は、技術の進歩とともに低下してきているが、それでもアルゴリズムを高い精度で実行する上で、誤り発生率を数桁のオーダーで減らす必要がある。このため研究者らはQECといったその他の手段を用いて物理的なレベルでゲートの誤り発生率を低下させるという補助的なアプローチを必要としている。

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