IBMは米国時間9月15日、量子コンピューティング開発に向けたロードマップを明らかにした。これには、2023年にリリース予定の1121キュービット(量子ビット)の「IBM Quantum Condor」プロセッサーとともに、各種のコンポーネントや冷却システムが含まれている。
同社によると、100万超キュービットの量子システムを構築することが目標だという。同社は、量子システムの商用化を阻んでいる障壁を克服する上で、1000キュービットが転換点になると考えているようだ。
量子コンピューティング市場はいまだ揺籃期にあるものの、競争が激化しているという点で、このロードマップはIBMにとって重要なものとなる。Honeywellは最近、同社の量子システムの概要を発表しているほか、Google、Microsoft、Intel、Amazon Web Services(AWS)そしてIBMの「System Q」など、何らかのかたちで商用化を目指している企業も数多く存在している。
IBM QuantumのバイスプレジデントであるJay Gambetta氏は、同社のロードマップが「世界中の誰でもがプログラムできるよう、クラウドを介して配備されるフルスタックの量子コンピューターを設計する」という、より大きなミッションの中心となると述べた。
実際のところ、量子リソースを利用する際に必要となる設備の規模や、冷却の必要性を考えた場合、クラウドコンピューティングの利用が最も妥当だといえる。1000キュービットに至る道には以下のマイルストーンがある。
- IBMは2021年に127キュービットの「IBM Quantum Eagle」プロセッサーを実現する。
- Quantum Eagleには、シリコン貫通電極(TSV)や多層配線技術といった改良技術が含まれる。また、この量子プロセッサーではクロストークエラーの低減も実現される。
- さらにIBMは2022年に、433キュービットの「IBM Quantum Osprey」システムをリリースする計画だ。制御関連と極低温インフラの効率と密度を高めることでスケーラビリティーの向上を可能にするという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。