IBMは米国時間8月20日、同社の量子コンピューティングにおいて過去最大の量子ボリューム(QV)を達成し、新たなマイルストーンに到達したと発表した。同社は、最新の27量子ビットのクライアント配備用システムを用いて量子ボリューム数を「64」にまで増大させたという。
量子ボリュームは、量子コンピューターの性能を評価するための指標だ。Honeywellもこれまでに同社の量子コンピューターが量子ボリュームで64を達成したとしていた。6量子ビットを搭載するマシンでこのマイルストーンに達したという。
IBMは1月、量子ボリューム数を「32」にまで引き上げることに成功したと発表していた。同社は、「IBM Q Network」内で既に展開されているシステムに対して、ソフトウェア面とハードウェア面での一連の新技術を適用することにより、64という量子ボリューム数を達成したと述べた。なおQ Networkは、量子コンピューティングの全体的発展を目的としている、開発者らと同分野の専門家らのネットワークだ。
IBMは今回の成果が、ハードウェアを活用して量子ボリューム回路を最適化したかたちで実行できるようにする一連の技術の適用によって達成されたと述べた。同社は、これらの技術によってあらゆる「IBM Quantum」システム上で動作するどのような量子回路の性能も強化されるはずだとしている。これらの技術は、「IBM Cloud」ソフトウェアサービスや、クロスプラットフォーム対応のオープンソースソフトウェア開発キット(SDK)である「Qiskit」の今後のリリースで利用可能になるという。
IBM FellowでIBM QuantumのバイスプレジデントであるJay Gambetta氏は声明で、「IBMのフルスタックのアプローチによって、業界で最も広範で強力な量子ハードウェアフリートで実行される、ハードウェアアウェアなアプリケーション、アルゴリズム、回路を開発する革新的な手段がもたらされる」と述べている。
IBMは4年間で28の量子コンピューターを「IBM Cloud」で利用できるようにし、8システムは量子ボリューム32を備えると述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。