スマートフォン、5Gネットワーク、Eコマースなど、大型のテクノロジーが登場したときは、他者に後れを取らないことが重要だ。米国政府が、何億ドルもの資金を投じて12の研究センターを新設し、人工知能(AI)や量子コンピューティングの取り組みを増強しているのは、まさにそのためだ。
提供:Stephen Shankland/CNET
米議会は既に、このプロジェクトのために多額の資金を割り当てている。そしてホワイトハウスは米国時間8月26日、米国国立科学財団(NSF)、米エネルギー省とともに、AIや量子コンピューティングにフォーカスする新たな複数の研究所に10億ドル(約1100億円)を投資すると発表した。取り組みの詳細に加え、12のセンターを設置するために名乗りを上げていた研究所や大学、そしてこれら2つの技術が米国経済と国家安全保障のために、いかに重要であるかを詳述した。
米エネルギー省の国立研究所が主導する5つの量子コンピューティングセンターは、5年間にわたる6億2500万ドル(約660億円)規模のプロジェクトで、民間企業や学術機関が3億4000万ドル(約360億円)相当の支援を行う。IBMのほか、Microsoft、Intelなどが取り組みを支援するようだ。この資金は、Donald Trump米大統領が2018年に署名したNational Quantum Initiative Act(米国量子イニシアチブ法)によって割り当てられた12億ドルの一環となるが、民間企業も貢献することで、その影響力がさらに増すことになる。
AIは既に、音声認識やスパムフィルタリングなどで広く使われており、Google、Facebook、Teslaをはじめとする、あらゆるテクノロジー大手で最優先事項となっている。量子コンピューティングはまだ成熟していないが、競争のし烈な分野であり、多くの研究者は新素材の開発、金融関連の予測、配送サービスに革命を起こすと考えている。企業は既に両分野に関心を持っているが、政府プログラムは既になされている研究よりも、基礎的な研究を後押しすることを目的としているようだ。
つまり、官民および大学の研究機関を結びつけ、米国の主要分野を加速させることが狙いだ。こうしたアプローチは、人類を月に送るためのアポロ計画や、軍が資金提供を行い、インターネットの原形となった「ARPANET(アーパネット)」など、米国がテクノロジー分野で成功を収める上で用いられてきたことと同様かもしれない。