注目されるピープルアナリティクス--日本企業の人材活用が非効率なホントの理由 - (page 2)

阿久津良和

2021-05-26 06:45

 アッテルのサービスは社員の資質診断や基礎能力診断といった定量化、適性や採用力などを可視化するための分析、入社後活躍・退職シミュレーションや活躍状況、早期退職などの予測、そして実行・改善を一気通貫で実行できるという。

 昨今のHRテック市場は多くの製品やサービスが取り並んでいるが、「(評価指標が分かりやすい)業務効率化を主眼にしたものが多く、今なおコンサル事業が主体」(塚本氏)である。この部分をピープルアナリティクスでデータ化するのが、同社のHRテック市場に対する現実解と表現できる。

 同社によればHRデータは「蓄積・可視化(システム化)」をベースに「定量化(収集)」「分析」「予測(検証)」「実行(改善)」の4段階を踏まなければならない。だが、各段階に課題が残るのはHRデータも例外ではない。

 たとえば定量化の段階では、多くの企業が社員のストレス耐性度をもとに離職率を判断するしている。このことについて塚本氏は「とある影響評価では『すぐに気分が落ち込む』など質問に問題がある。どの回答を選べばスコアが“上がる/下がる”が分かりやすく、回答者はごまかしやすい。我々は『優劣のあるアセスメント』と呼んでいる」と指摘しながら、自社サービスでは優劣が明確にならない影響評価を用いているという。

 また、分析段階においては、ハイパフォーマー(活躍する人材)を可視化を試みる企業は少なくない。持続性や達成約、独自性などにポイントを付けるものだが、「とある一例では達成意欲の高い人材を採用すれば、OKのはずだが、対となるローパフォーマーのデータと比べて差分を確認するのが重要」(塚本氏)であり、大きな差が生じている部分がハイパフォーマーたらしめている要素であり、「定量化の工夫もデータ活用のポイント」だと明示した。

競合他社との機能比較 競合他社との機能比較
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 採用ブランディング・人事採用支援のHR系スタートアップ企業であるポテンシャライト(渋谷区、従業員数約30人)は、アッテルのクラウドサービスでハイパフォーマーを定量化し、自身の感覚をデータから再確認。採用のPDCAサイクルが定量的に回るようになったという。

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