PwCコンサルティングは5月27日、「2021年DX意識調査 - ITモダナイゼーション編 -」と題した報道機関向けのオンライン説明会を開催した。その中で、不確実性の高まる時代に、日本企業が勝ち残っていくために必要な5つの提言を明らかにした。
PwCでは、2021年3月に日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)について意識調査を実施。その中から、今回はITモダナイゼーションの取り組み状況について焦点が当てられた。
同社では、ITモダナイゼーションを「従来のITシステムに関する常識にとらわれることなく、ITシステムの実装方法、組織やプロセス、人材など幅広い観点であるべき姿を模索する企業内のITの近代化」と定義。この近代化を通して、ビジネスの俊敏性と弾力性の向上に寄与するものとしている。
調査は、売上高500億円以上のITモダナイゼーションに関与している企業/組織の課長レベル以上を対象に、516人から回答を得た。回答者の上位3つの業界は、製造業(30%)、金融業(23%)、流通業(22%)だった。
PwCコンサルティング パートナー クラウドトランスフォーメーションリーダーの中山裕之氏は会見で、「市場の変化に素早く対応するITの俊敏性と弾力性の向上が、経営にとってより重要になっていく」といい、ITモダナイゼーションが必要な理由として「企業を取り巻く環境変化スピードの加速化」「クラウドコンピューティングの普及」「レガシーシステム問題による多額の経済損失の恐れ」の3つを挙げた。
今回の意識調査では、ITの俊敏性と弾力性が重要と考え、「クラウドの活用状況」「マイクロサービスなどの活用状況」「アジャイル適用の状況」に関する質問に着目し、その活用度合に応じてITモダナイゼーションの成熟度を「先進」「準先進」「その他」の3つに分類した。
その結果は、「先進」の占める割合は全体の7%、「準先進」は25%、その他は68%だった。その上で、中山氏は「日本企業のITモダナイゼーションはまだ3割程度しか進んでいない」と指摘した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がビジネスに与える影響については、売上高が増加した割合は「先進」は63%、「準先進」は60%だった一方で、「その他」は21%にとどまった。ITモダナイゼーションへの影響についても、取り組みが加速したと回答した割合は「先進」が76%、「準先進」が75%だったのに対し、「その他」は27%だった。