3.データベースが必要な理由
データベースが必要な理由は、デジタル化によって扱う情報が増えているからです。コンピューターがない時代は、日報を紙で付けておいて、月次に集計するなどして売り上げを把握していました。しかし、迅速性が求められる現代社会においては、1カ月経過しないと売上高がわからないというのでは遅すぎます。リアルタイムに売り上げを把握するためには、データベースが欠かせません。
コンビニやスーパーではバーコードを読み込んで会計をしますが、あの処理がデータを登録している作業になります。データベースに登録されることで、いつ、どの商品が、売れたのかリアルタイムで把握することができるようになっています。天候や時間帯などの情報を加味して分析することで、仕入量の判断をするのに役立っています。
電車に乗る場合、ICカードでゲートを通過しますが、利用日時やどの駅の開札を通り、どの駅の改札を出たかの情報はデータベースに登録されています。鉄道事業者は、そのデータを分析しダイヤの改正やマーケティングに生かしています。また、これらデータは、ビックデータとして他社への販売もされています。それを利用することで、人の動きを把握することができるからです。
最近だと、スマホの位置情報が新型コロナウイルス感染症の感染対策の一環として、どれだけ繁華街に人が出ているかを把握するために利用されています。これも、位置情報というデータをデータベースに記録しているからできることです。
このように、現代社会においては、データベースは欠かせないものになっています。データベース化しなければ何の価値もないデータが、データベース化することによって、大きな価値を持つこともあります。
4.データベースの種類
(1)階層型
階層型データベースは、組織図や家系図のように上から枝分かれするツリー構造で管理されるデータベースです。体系的に整理されているため、検索が高速なのがメリットです。ただ、組織図の例でいうと、同じ人が複数の部署に所属している場合、データが重複してしまうというデメリットがあります。
(2)ネットワーク型
ネットワーク型データベースは、データを網目状に連結するデータベースです。階層型データベースが上下だけの連結なのに対し、ネットワーク型データベースは、横の連結もあるのが特徴です。ネットワーク型の場合、複数の部署に所属している社員がいても、社員から複数の部署へ連結できるので重複が発生しないというメリットがあります。他方、複雑にからみあうため、階層型以上にプログラミングが複雑になってしまうというデメリットがあります。
(3)リレーショナル型
リレーショナル型データベースは、行と列の表形式でデータを格納し、複数の表を連結させるデータベースです。Excelの表を複数のシートで作成してそれを連結するイメージです。現在使われているほとんどのデータベースがこのリレーショナル型データベースとなっています。表形式なのでわかりやすく、複数の表を連結することで複雑な処理もできることがメリットです。ただ、テーブルの数が多くなると処理が遅くなるというデメリットがあります。
(4)NoSQL型
NoSQL型データベースは、リレーショナル(SQL)ではないデータベースというものです。リレーショナル型データベースの多くは、「SQL」という言語を使ってデータの出し入れをしますが、NoSQL型では、SQL言語を使わずデータの出し入れをします。
NoSQL型は、処理が早いというメリットがあります。一方、データ同士の連結ができないので複雑な処理ができないというデメリットがあります。
5.DXとデータベースの関係
DXは、デジタル社会を前提としたデジタル技術による変革ですが、それを実現するためには、さまざまな情報をリアルタイムに把握することが必要になります。そのツールとして、データベースが役に立ちます。
データベースを導入する場合、過去のデータとの整合性が気になる人も多いと思いますが、Excelなどの表計算ソフトで情報を管理している場合には、データベースに簡単に取り込むことが可能です。つまり、過去のデータもすぐデータベースに登録して活用することができます。
表計算ソフトに比べ、検索能力が格段に向上し、さまざまデータと連携が可能になるので、現状分析が容易になります。集計作業も自動化されるため、その他の業務に回せる時間が増えます。
デジタル化の進捗状況は企業によってさまざまですが、もし、ExcelやWordくらいしか使ったことがなく、業務のデジタル化が進んでいないという場合には、まずは、データベースソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
(第4回は6月下旬にて掲載予定)
- 伊達 諒(だて りょう)
- 日本銀行で金融機関の経営分析、厚生労働省で政策の調査業務、内閣府でSEを経て、フリーライターとなる。MBA、CFP、一級FP技能士の資格も有しており、金融、経済、IT、経営、会計、税、行政と幅広い分野での執筆活動をしている。これまで、大手メディアを中心に、500本以上の記事を執筆している。