Googleの研究者らは、人工知能(AI)が人間のエンジニアより効率的にコンピューターチップを設計できる可能性があるとの研究結果を発表した。
Google ResearchはNature誌に公開した研究論文で、コンピューターチップの物理的レイアウトを設計するフロアプランの作成が、必要不可欠な作業である一方、複雑で時間がかかると説明している。
より効率的な成果を得るために、研究者らはチップのフロアプラン作成をゲームに、コンポーネントをゲームの駒に、コンポーネントを配置するキャンバスをゲーム盤に見立てて、一連のアルゴリズムを開発した。そして、1万例のフロアプランを登録した参照データセットに基づく評価指標を使い、そのパフォーマンスを評価して勝者を判断した。
アルゴリズムは6時間の間に、人間の専門家が設計したものより効率的なフロアプランの開発に成功した。人間の専門家の場合、通常は数カ月かかるという。
「われわれの手法では、製造可能なチップのフロアプランを6時間足らずで生成できた。対する人間の場合、基準値となる最も有力なベースラインを作成するために、数カ月間、熱心に取り組まねばならない」と、研究者らは述べた。
研究者らによると、この設計手法は時間を節約できるばかりか、「チップの配置について、問題がある事例をより多く浮き彫りにできるため」、作業品質も向上できるという。
この手法はすでにGoogleが採用しており、「Tensor Processing Unit」の最新の世代を設計するのに活用されている。
Googleは2020年2月、チップの設計でAIを試験的に活用していることを明らかにしていた。当時、同社のAI研究担当責任者であるJeff Dean氏は米ZDNetに対し、コスト削減と設計の効率化に役立つ可能性があると語っていた。
「ワークフローでどのように活用できるのか、当社の設計者に実験してもらっている」(同氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。