テラスカイは6月21日、2030年代の同社グループの経営を担う人材の育成を目指す「後継者育成プロジェクト」を開始すると発表した。経営幹部候補者を複数人募集し、採用者は執行役員として雇用する。
後継者育成プロジェクト」を説明する佐藤秀哉社長。同氏の退任を前提としたプロジェクトではないとしている
同日の記者会見で代表取締役社長の佐藤秀哉氏は、プロジェクトの狙いを「安定した高成長をこれからも連続させていくため」と説明した。同社は創業16年目を迎え、現在はクラウドインテグレーション事業と製品事業を中核に、 2021年2月期決算では売上高が111億4400万円となった。
このプロジェクトに関する同社の報道発表では「売上高1000億円規模の会社ステージになることを視野」とし、会見の中で佐藤氏は、「確定的な時期は難しいが、肌感覚としては現在のやり方でも売上高500億円を達成できると思う。だが、(売上高1000億円を現実の視野に入れる)2030年代は現在とは事業環境が大きく変わっているとの予想から、多様な人材が集う環境を今から作り上げていきたいと考えている」と述べた。
直近の決算発表では、利益を積極的な投資活動に充てるとして、2022年2月期の業績予想を売上高が18.1%増の131億5900万円、営業利益が31.2%減の5億3600万円の増収減益とした。佐藤氏は、これまでの経営戦略について、テクノロジーを中枢に据えて収益性につながる領域への積極的な先行投資を続けることにより高成長を担保していると述べる。クラウド事業では、SaaSが最初に台頭する2000年代前半のSaleforce.comのインテグレーションビジネスを皮切りに、サーバーワークスとの協業でAmazon Web Services(AWS)のビジネスにも進出、以降はMicrosoft Azure、Google Cloudと拡大し、各ビジネスを新設および買収・合併したグループ会社が担う体制を敷く。
「後継者育成プロジェクト」で同社が希望する人材像は下記の通り。ただ、佐藤氏は「当社はテクノロジーカンパニーと自負しているのでテクノロジーの素養はあってほしい」「(人材像を既に満たす)キャリアの人は起業するなど(プロジェクトへの)応募は少ないだろう。むしろ、ヒト・モノ・カネで新しいビジネスを作りたい、成長する新しい組織をもっと成長させたいというマインドを持ちながら、さまざま理由でそれができない人にチャレンジしてほしい」などと語った。
- ITビジネスの損益責任を持った経験(営業、デリバリーの双方があれば尚可)
- 新しいデジタルソリューションの知識、経験
- テクノロジー業界全般に関する深い知識、情報収集・分析をした経験
- グローバル経験
- 複数事業の管理経験
- 起業、新規事業開発、M&Aなどで企業のダイナミックな成長に寄与した経験
- 経営企画、戦略コンサルティングの経験
人材は7月末まで募集し、審査と面接で選考する予定。募集は公募だけでなくグループ内の立候補や人材紹介会社経由でも行っている。選定者は執行役員として社員雇用されるという。