ヴイエムウェア、国内でのゼロトラストセキュリティ推進体制を発表

國谷武史 (編集部)

2021-06-30 14:07

 ヴイエムウェアは6月30日、国内で企業のゼロトラストセキュリティの導入を推進するパートナー体制などの取り組みを発表した。パートナー6社が賛同を表明し、ヴイエムウェアではセキュリティ専任部門の新設や認定資格制度の創設などを図る。

 ゼロトラストセキュリティは、サイバーセキュリティの新しい考え方で、ITのシステムやサービスを利用するユーザーやデバイスなどを認証した上で、常にその利用状況などを監視し、不審な兆候などには随時確認を行うなどして安全性を確保、維持する。従来は、インターネット側と企業内などのローカルネットワーク側に分けてその境界を基準にセキュリティ対策を講じ、ローカルネットワーク側の安全を確保する「境界防御」の考え方が主流だった。

ヴイエムウェア 執行役員 ソリューションビジネス管掌の秋山将人氏
ヴイエムウェア 執行役員 ソリューションビジネス管掌の秋山将人氏

 この日記者会見した執行役員 ソリューションビジネス管掌の秋山将人氏は、ITのシステムやサービスの稼働環境がローカルネットワーク(オンプレミス)やクラウドに分散し、昨今のコロナ禍でテレワークが広がるなど従業員の就業場所もオフィスの中にとどまらなくなっていると指摘した上で、サイバー攻撃などの脅威がこうした変化に追従していると述べた。

 従来の境界防御によるセキュリティ対策では、オンプレミス以外の環境にあるITシステムやサービス、従業員の端末などの保護が手薄になり、脅威の侵入や拡大を防ぐのが難しく対応も遅れて重大な被害につながりかねないという。秋山氏は、環境に左右されないセキュリティ対策としてゼロトラストセキュリティが必要だと説いた。

 ただ、企業などでは長年にわたって境界に設置するファイアウォールなどのネットワークセキュリティ機器、PCなどのエンドポイントでのウイルス対策ソフトなど、境界防御ベースのセキュリティ対策に多額の投資をしてきた。ゼロトラストセキュリティを基本にしたセキュリティ対策に切り替えるにも、これまでの投資が無駄になりかねないなどの懸念があり、すぐには難しい。このため同社は、ゼロトラストセキュリティの導入推進で「シンプル」「迅速」「スマート」をコンセプトにしているという。

VMwareにおけるゼロトラストセキュリティソリューションの概要
VMwareにおけるゼロトラストセキュリティソリューションの概要

 秋山氏によれば、「シンプル」とは同社のITインフラ製品・サービスにセキュリティの機能を組み込むこと、「迅速」とは各種のセキュリティ機能が連携・協調すること、「スマート」とはインテリジェンスでさまざまな状況に対応すること――とのこと。具体例としてシニアセキュリティアーキテクトの橋本賢一郎氏が、分散型ファイアウォールによるマイクロセグメンテーション化で攻撃を受ける領域を極小化したり、WorkSpace ONEとVMware SASE(Secure Access Service Edge)、Carbon Blackが連動してさまざまな場所にあるエンドポイントを包括し、最新の脅威にも迅速に対処したりできる仕組みを紹介した。こうした対策には、同社セキュリティ研究機関の「VMware Threat Analysis Unit」のリソースも活用する。

 秋山氏は、こうした一連の取り組みを「Security Initiative」として立ち上げると表明。マルチクラウド、ネットワーク、エンドポイントの3つの領域を定め、ソフトバンク、NEC、ネットワンシステムズ、日立システムズ、ユニアデックス、ラックの6社がこれに賛同したことを発表した。今後は6社とヴイエムウェアで、各領域におけるゼロトラストセキュリティの導入推進に取り組むという。

VMwareのゼロトラストセキュリティの取り組みに賛同したパートナー
VMwareのゼロトラストセキュリティの取り組みに賛同したパートナー

 また、ヴイエムウェア単体でも2021年度下期にゼロトラストセキュリティ専門組織を立ち上げ、顧客にコンサルティングサービスなどを提供するほか、2021年度中にセキュリティに関する認定資格制度も創設して、顧客でのゼロトラストセキュリティ導入を支援する人材を増やすことにしている。

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