業務タイプごとにどうしていくか会話してみよう
仕分けができたら、その観点で情報システム担当と会話を進めてみよう。前回の記事では、自社のIBM iシステムを一つの手法に絞ってオープン化するのではなく、さまざまな役割の業務システム機能を「作り変えなくてはいけないもの」「新しくシステムとして作らなくてはいけないもの」「縮小、廃止するもの」「そのまま使い続けるもの」に仕分けし、業務の視点でこの4つを更に細分化しつつ、それぞれにマッチしたオープン化の手法を選んでいくことをお薦めした。
前述の5つの業務の仕分けをこの4つのシステム的観点も加えて整理し、パッケージやネットワーク上のサービスを使う、新しい仕様で作り直すなど決めていってほしい。予算や人員の都合、独立させやすい業務機能かどうかの判断、経営上の優先順位、システムの基盤に関わる優先順位などのさまざまな要素が関わってくるが、情報システム部門だけに任せず、意思決定者や経営企画部門、現場部門が一緒になって進めていくことがIBM iのオープン化、近代化とDX実現に向けた現実的な道となる。
技術者を社内に置く意義を考えよう
日本においては、他国と比べて情報システムに対する外部業者への依存度が2倍程高い。特にIBM iのアプリケーションにおいては、扱える社内技術者の減少に伴い、全てを外部業者へ委託しようとする流れも出てきている。
しかし、前述のようにDX対応などは、全社一丸であるとともにデジタル人材を社内で育てておくことが非常に重要である。IBM i の後継者不足に悩んでいる場合、情報システム部門の近代化という視点での技術継承基盤の導入をお薦めする。例えばジーアールソリューションズでは、同社が独立販売権を持つ「X-Analysis」をその位置付けとしており、若手のオープンシステム技術者の多くがIBM iのアプリケーション資産を理解、調査している。
また、第2回の記事で述べさせていただいた通り、IBM iとその稼働ハードウェアである「Power Systems」はオープン化されているので、新規開発においてはオープン系のエンジニアが他のオープン環境と同様の実装が可能である。
- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。