NECネッツエスアイは7月20日、新常態(ニューノーマル)時代の働き方を体現するハイブリッドワークの実証実験を開始したことを明らかにした。デジタルシフトで共創できるという同社のコンセプト「Symphonict」をベースにパートナー企業である米Kloudspotが提供するハイブリッドワークスペース「KloudHybrid」などを活用する。
NECネッツエスアイ 取締役執行役員常務 野田修氏は「われわれはコロナ禍以前から分散型ワークに挑戦してきた。オフィスの60%を分散化し、Salesforce連携など業務工程をデジタル化している。コロナ禍で大きな経営課題が明らかになり、急速にリモートワークとオフィスワークが共存するハイブリッドな働き方へ変化した。Symphonictとリアル&ハイブリッドの働き方を集約し、『知の集約×つながりの拡張』を実現するため、環境の“Re:デザイン”に挑戦する」と概要を説明した。
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「意思疎通しにくくなった」をどう乗り越えるか
コロナ禍における従業員同士のコミュニケーション不足や意欲の低下した事例は枚挙に暇がない。リクルートワークス研究所が7月に公開した「Works Index 2020」では、学習・訓練意欲が前年度の0.6ポイントからマイナス2.1ポイントと、大幅に下落している。
NECネッツエスアイの社内アンケートでも「意思疎通しにくくなった」という声が大きく目立ち、若手社員のエンゲージメント低下や中堅管理職の疲弊、人材成長の機会不足といった課題が明確になった。同社 執行役員 菊池惣氏は「新たな企業成長には『人材の成長』『チームワーク』『共創空間』が必要。組織の壁や常識の壁、習慣の壁を乗り越えなければならない」と、今回の取り組みに至った背景を説明する。
今回の実証実験では(1)若手社員育成のサポート(2)組織横断チームの支援(3)One Globe Office(4)バーチャル共創ラボ(5)日本橋イノベーションベース――の5つに取り組む。
(1)若手社員の育成について、NECネッツエスアイ ビジネスデザイン統括本部 ビジネスデザイン戦略本部長 吉田和友氏は「(オフィスの)席を共有して会話から補完されるのがリアルの良さ」だが、NECネッツエスアイは組織の「関係性を取り除いた(人間)関係構造を仮想化する。Slack上に育成支援チームを用意し、若手社員の業務や精神面の支援、同期のつながりを構築する」(吉田氏)という。
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