本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、KPMGコンサルティングが提供する企業向け「デジタル成熟度診断サービス」を取り上げる。
新サービスでデジタル変革企業としての成熟度を評価
KPMGコンサルティングは先頃、企業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進状況のインタビューや情報収集、ベンチマーク、評価、分析に基づいたDX課題の特定と施策立案を支援する「デジタル成熟度診断サービス」を提供開始すると発表した。
新型コロナウイルス感染症の影響で環境変化が激しさを増しており、さまざまな業界に新しいデジタル技術を用いた破壊的な新規参入者(デジタルディスラプター)が現れている。そうした中で、競争優位性を確保するためにDX対応に迫られている企業や、DXの必要性を認識し始めた企業が増加している。ただ、DXは企業改革を目的とするため、全社施策としての具体化やその効果創出計画が重要な課題となっている。
そこで、同社ではグローバルアセット「デジタル成熟度診断ツール」を用いて、全社的なデジタル活用状況を素早く可視化し、企業のDX推進計画立案と実行を支援するサービスを提供することにした。このツールでは、迅速な評価の実施と、ベンチマーク(判断基準とするため各国企業のデータを基に算出したグローバル平均値)との比較などの網羅的分析や全体ロードマップの素案策定など、将来のDX戦略につながる全社的検討を、同時に実現することが可能となっている。(図1)

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具体的な進め方としては、企業の経営企画部門や業務改革部門とKPMGのメンバーがワンチームでプロジェクトを推進。企業が策定、公表している中期経営計画やビジネス戦略、それに至る検討資料を事前分析し、DXの再加速に向けた重点テーマを協議の上、4~5つ設定する。そして、デジタル成熟度診断ツールを用いたインタビュー結果を基に、デジタル化検討テーマやグローバル平均とのギャップなどを分析し、ワークスタイル変革やDX推進に必要な施策案、優先順決定を支援する運びだ。
同社は今回の新サービスの勘所について、「デジタル成熟度診断はデジタル変革企業としての成熟度の評価を目的としている。デジタル経営環境に企業がどの程度適応する力があるかを、戦略、人材と教育、プロセス、ソリューション、ガバナンスの5つのドメインベースに可視化し、今後どのようにビジネス環境を変革していくべきか、検討を進めていくことで、全社的なデジタル戦略、構想を描くことが可能になる。幅広いテクノロジーを活用し、戦略や人材、ガバナンスなどの企業経営を推進するさまざまな要素をアセスメントの入り口として広く設定することで、全社的なDX成熟状況について網羅的に情報収集評価ができるようになっている」と説明している。(図2)

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