Amazon Web Services(AWS)とNetAppは米国時間9月2日、複数年をかけて開発した新たなストレージサービス「Amazon FSx for NetApp ONTAP」の一般提供を開始したと発表した。このサービスは、AWS上では初めて提供されるフルマネージド型の「ONTAP」ファイルシステムであり、顧客はこれを利用することで、自らのコードやデータ管理方法を変更しなくとも、AWS上でアプリケーションを実行するシンプルな手段を手に入れられるようになる。
提供:Amazon
この新サービスは、AWSが「Amazon FSx for Windows File Server」および「Amazon FSx for Lustre」の最初のバージョンを発表後、3年近くたってからの提供となった。FSxによって、顧客は自らのファイルストレージが利用するファイルシステムを選択し、その一連の機能やパフォーマンスすべてを、AWSクラウド上で提供されるフルマネージド型のサービスとして享受できる。また顧客に対して、AWSの高いパフォーマンスとともに、他のAWSサービスとのシームレスな統合というメリットももたらされる。
ONTAPは、オンプレミスのネットワーク接続型ストレージ(NAS)を支えてきたNetAppの伝統的なファイルシステム技術だ。NAS分野はNetAppやDell Technologies、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Pure Storage、Nutanixといった数多くの大手企業が参入している大規模な市場だ。複数のサーバー上で実行されているエンタープライズアプリケーションのほとんどは、共有データセットにアクセスできるようNASに依存している。
例えば、Epic Systemsの電子健康記録(EHR)ソフトウェアのような重要なプログラムは、病院内の医師が記録システムにアクセスできるようNASを利用している。こういったアプリケーションは通常の場合、病院内に物理的に設置されたシステム上に配備されている。しかし今後は、AWS上に配備できるようになる。
NetAppのパブリッククラウド担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのAnthony Lye氏は米ZDNetに対して、「これにより、さらなるデジタル変革とAWSの採用という大きな機会がわれわれと顧客の双方にもたらされる」と述べた。
また同氏によると、この新製品によって獲得しようとしている競合他社の顧客にとっても「同様に素晴らしい」話だと述べ、「われわれは(市場)シェアの多くを獲得できると考えている」と続けた。
Lye氏は「Dell EMCのシステムを稼働させ、オンプレミス環境のEMCストレージを使っている場合、クラウドへの道はつながっていない」と述べ、「この場合、リファクタリングやリエンジニアリングが必要になるだろう。ONTAPはゴールドスタンダードであり、EMCの顧客はそのことを分かっているとともに、ONTAPを歓迎するだろう。彼らはONTAPがAmazonのサービスにおけるファーストパーティーの位置付けとなったことに安心感を抱いており、われわれは顧客すべてに対してそのことを伝えていくつもりだ」と続けた。
このサービスは、オンプレミスのストレージ管理をやめたいという顧客も活用できるはずだ。
またクラウドへの移行や、事業の継続性維持、開発時のテストといった、複数の目的を有した顧客も、このサービスを役立てられるだろう。
顧客はAmazon FSx for NetApp ONTAPを利用する上で、最初に期間を定めたり、料金を支払ったりする必要はなく、利用した分の料金を支払うだけでよい。
Amazon FSx for NetApp ONTAPは2日から世界各地のリージョンで提供されている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。